2024.08.30 静電気
目次
静電気シールド袋とは、電子部品などの精密機器を静電気から保護するための袋です。
静電気は、電子部品を破損させたり、誤動作の原因となることがあります。静電気シールド袋は、この静電気から製品をしっかりと守るために、静電気対策袋は、特殊な材質で作られており、静電気の発生を抑制します。
静電気対策袋は、特に電子機器の製造工程や輸送時に不可欠といわれています。
※ここで解説する静電気シールド袋とは、
機器を外部の電磁波から保護する、EMC対策に使用される電磁シールド性能とは異なります。
あくまでも、対象物を静電気から保護するための袋として解説を行っております。
ケンエーで取り扱っている静電気シールド袋は大きく分けて3種類あります。
1.静電気シールド袋(両面静電気対策タイプ)
2.静電気シールド袋 防湿タイプ
3.静電気シールド袋 遮光タイプ
本ページでは上記3種類の静電気シールド袋について解説していきます。
電子部品、基板、小さな部品など、一般的な静電気対策に適しています。
袋自体が導電性または帯電防止処理が施されているため、外部からの静電気の侵入を防ぎます。
袋の内側が帯電防止処理されているため、製品から発生した静電気を抑制します。
高い静電気対策が必要な電子部品、精密機器、半導体製品などの包装に最適です。外部からの静電気によるダメージから製品を徹底的に保護したい場合に用いられます。
両面から静電気を遮蔽するため、より高いレベルの静電気対策が可能です。
静電気による製品の損傷をより効果的に防止できます。
電子部品だけでなく、精密機械や医療機器など、幅広い製品に対応できます。
作業者の安全確保にも貢献します。静電気による火花放電のリスクを低減し、作業環境を安全にします。
一般的な帯電防止袋や導電袋に比べて製造コストが高くなります。
両面とも導電層があるため、柔軟性がやや低下する場合があります。
導電層があるため、印刷できるインクの種類や位置に制限がある場合があります。
特殊な設備や知識がなくても簡単に使用できます。
様々なサイズの製品に対応できるよう、多様なサイズが用意されています。
中身を確認できるため、誤った製品を封入してしまうことを防ぎます。
湿気への対策がされていないタイプです。
高い遮蔽性能と多様な機能を備えており、より高度な静電気対策が必要な場合に最適です。
静電気シールド袋の防湿タイプは、静電気対策に加えて、製品の酸化を防ぐために、高い防湿性能を備えた製品です。
一般的な静電気シールド袋と同様に、静電気を遮断し、製品を静電気から保護します。
特殊な素材や構造により、水蒸気を遮断し、製品を湿気から守ります。
湿気による酸化を防止することで、製品の寿命を延ばします。
防湿タイプの静電気シールド袋は、一般的に以下の層で構成されていることが多いです。
※製品により詳細な構造は異なります。
外層: 帯電防止処理を施したポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルム
中間層: アルミニウム蒸着層やシリカゲル層など、高い防湿性を持つ層
内層: 帯電防止処理を施したポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルム
湿気による酸化や腐食を防ぎ、製品の寿命を延ばします。
湿気による性能低下を防ぎ、製品の性能を維持します。
電子部品だけでなく、金属部品や精密機器など、幅広い製品に対応できます。
一般的な袋に比べて製造コストが高くなります。
内面に帯電防止剤(界面活性剤タイプ)が使用されている場合は、内容物に帯電防止剤が移行する可能性があります。
倉庫や工場など、湿度が高い環境での保管に利用されます。
長期間にわたって製品を保管する場合に利用されます。
金属部品の酸化や腐食を防ぎたい場合に利用されます。
湿気による性能低下を防ぎたい精密機器の保護に利用されます。
製品の特性: 扱う製品の材質、形状、サイズなどを考慮します。
環境条件: 使用する場所の温度、湿度などを考慮します。
必要な機能: 静電気対策、防湿性、遮光性など、必要な機能を考慮します。
コスト: 予算に合わせて、最適な製品を選びます。
アルミ防湿袋は、その名の通り、アルミ箔を内層に持つ静電気シールド袋です。
高い防湿性
アルミ箔は、水蒸気だけでなく、酸素や光も遮断するため、非常に高い防湿性能を持っています。
遮光性
光による製品の劣化を防ぎます。
遮蔽性
外部からの衝撃や埃から製品を保護します。
静電気対策
製品の内側には帯電防止処理が施されている製品も多く、静電気による製品の損傷を防ぎます。
電子部品の長期保管
半導体などの高精度な電子部品の長期保管に最適です。
精密機器の輸送
カメラレンズ、光学機器などの精密機器の輸送に利用されると言われています。
シリカ蒸着袋とは、プラスチックフィルムの表面にシリカ(二酸化ケイ素)を蒸着させた袋のことです。このシリカの層が、高い防湿性やガスバリア性を付与し、製品を湿気や外部の環境から保護します。
水分だけでなく、酸素やその他のガスも透過しにくいため、製品の酸化や変質を防ぎます。
透明なフィルムを使用できるため、中身を確認できます。
柔軟性に優れており、様々な形状の製品に対応できます。
静電気シールド袋の防湿タイプは、静電気対策に加えて、高い防湿性能を備えているため、製品の長期保存や湿度の高い環境での保管に最適です。製品の特性や使用環境に合わせて、適切な製品を選ぶことが重要です。
どちらの袋を選ぶべきかは、製品の特性や保管条件によって異なります。
静電気シールド袋の遮光タイプは、光に敏感な電子部品や素材を保護するために、光を遮断する機能を持った製品です。
一般的な静電気シールド袋と同様に、外からの静電気から、製品を静電気から保護します。
アルミ箔やアルミ蒸着層などにより、光を遮断し、製品を光から守ります。
紫外線による劣化を防ぎ、製品の寿命を延ばします。
光によって変色しやすい製品を保護します。
光によって劣化したり、変色したりする製品の保護に最適です。
比較的長期間にわたって製品を保管する場合に利用されます。
一般タイプに比べて製造コストが高くなります。
内面に帯電防止剤(界面活性剤タイプ)が使用されている場合は、内容物に帯電防止剤が移行する可能性があります。
レンズ、光センサーなど、光学部品の保護に利用されます。
光によって変色したり、品質が低下したりする医薬品や化粧品の保管に利用されます。
光によって感光してしまう写真フィルムや感光材料の保管に利用されます。
静電気シールド袋は、一般的に外側に導電性や帯電防止処理が施され、静電気から製品を保護する役割を果たします。しかし、内面層に帯電防止処理がされていない製品も存在します。その理由としては、以下の点が考えられます。
内面層に帯電防止剤を使用すると、それが製品に付着し、製品の性能や品質に影響を与える可能性があります。特に、食品や医薬品など、直接人体に触れる製品の場合、この点が懸念されます。
帯電防止剤の使用は、製造コストの上昇につながります。製品の特性や用途によっては、内面層への処理が必ずしも必要ない場合、コスト削減のために省略されることがあります。
一部の製品では、内面層に特別な処理が施されており、帯電防止剤を使用しなくても十分な静電気対策効果を発揮する場合があります。
静電気シールド袋の内面層に帯電防止処理がされていない製品は、製品の特性や用途によって選択されます。
帯電防止ラミネート袋の内面層に無添加ポリエチレンを使用することは、製品の特性や用途によっては非常に有効な選択となります。この選択がもたらすメリットとデメリットを、それぞれ詳しく見ていきましょう
無添加ポリエチレンは、添加剤を含まないため、製品への化学物質の付着リスクが極めて低いです。特に、食品や医薬品など、直接人体に触れる製品の場合、この点が大きなメリットとなります。
内面が清浄なため、製品を高い純度で保つことができます。これは、半導体や精密機器など、微量な汚染でも性能に影響が出るような製品に適しています。
添加剤が原因となる製品の変色や劣化を抑制できます。
例)界面活性剤タイプの帯電防止の場合、ブリードアウトによる内容物へ添加剤の移行
無添加ポリエチレンは、一般的なポリエチレンに比べて製造コストが高くなります。
酸化防止剤やスリップ材、アンチブロッキング剤などが添加されていないポリエチレンです。
そのため、ブリードアウトによる内容物汚染リスクがありません。
一般ポリエチレンと比較し、やや高価となります。
一般的に使用されている通常のポリエチレンフィルムは、フィルムの成形や加工をしやすくするために様々な添加剤を使用しています。
製造の際の樹脂コゲを発生しにくくするため
酸化劣化を防ぐため
袋へ加工の際の生産性を向上させるため
袋の口開きをよくするため
上記添加剤の種類や使用目的は一例ですが、このような多くの添加剤を使用してポリエチレン袋は製造されております。
これらの添加剤は、ブリードアウト(袋に添加されている物質が内容物に移行する)現象が起こり、
フィルムの表面にすこしずつ細かな塵のような形で浮き出て来ます。
ブリードアウトにより添加剤で塵が発生してしまったり、
添加剤と薬品が化学反応を起こし内容物を汚染してしまったり、精密な製品に細かなキズを付けてしまったりということが起こる可能性があります。
無添加ポリエチレンを使用することで上記のようなリスクを回避できるメリットがあります。
内層にアルミ箔を、外層に導電性のあるフィルムを配置することで、静電気の遮蔽効果を大幅に高めることができます。
内層にシリカを蒸着させたフィルムを使用することで、水分やガスバリア性を高め、製品の劣化を防ぎます。
多層構造にすることで、袋の強度を高め、破損のリスクを低減することができます。
高い静電気遮蔽性とバリア性が求められるため、アルミ箔と帯電防止機能フィルムを組み合わせた構造が一般的です。
高いバリア性と清浄度が求められるため、無添加ポリエチレンとシリカゲル蒸着フィルムを組み合わせた構造が一般的です。
静電気シールド袋のラミネート構造は、製品の特性や用途に合わせて多層化されることが一般的です。2層と3層以上のラミネートそれぞれに、特有のメリットとデメリットが存在します。
メリット
構造がシンプルかつ工程が少ないため、3層以上のラミネートと比較し製造コストを抑えることができます。
デメリット
2層では、実現できる機能の組み合わせに制限があります。例えば、高いバリア性と導電性を同時に実現するのは難しい場合があります。
メリット
各層に異なる素材を使用することで、高いバリア性、導電性、強度などを同時に実現できます。
外部環境の変化に対応できるよう、多層構造にすることで、製品の保護性能を高めることができます。
デメリット
構造が複雑になるため、製造コストが高くなります。
どちらの構造を選ぶかは、製品の特性や用途によって異なります。
静電気シールド袋は、精密機器や電子部品などの静電気によるダメージから保護するために重要な役割を果たしますが、正しい使用方法を理解し、注意点を守ることが大切です。
袋が破れると、静電気シールド効果が失われるため、鋭利な物との接触は避けてください。
袋に過度な圧力がかかると、破損する恐れがあります。
高温多湿な環境下での長期保管は、袋の劣化を早める可能性があります。
火気に近づけると、袋が溶ける恐れがあります。
一度開封した袋は、再び封をすることが難しく、静電気シールド効果が低下する可能性があるため、再利用は避けることをおすすめします。
頻繁な折り曲げは、導電層にダメージを与え、静電気シールド効果を低下させる可能性があります。
高い湿度環境下では、乾燥剤を併用することで、より効果的な防湿が可能です。
急激な温度変化は、袋内に結露が生じる可能性があるため、注意が必要です。
直射日光や蛍光灯の光を長時間あてると、袋の劣化を早める可能性があります。
扱う製品の特性に合わせて、適切な静電気シールド袋を選択してください。
静電気シールド袋は、繊細な製品を保護するための重要なツールです。正しい使用方法を理解し、注意点を守ることで、より長く安全にご使用いただけます。
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