2024.08.29 静電気
目次
静電気から大切なものを守る袋
皆さんは、冬にセーターを脱ぐときバチッとくる静電気の経験はありませんか?この静電気は、電子部品のような繊細な製品を壊してしまうことがあるんです。
静電気対策袋は、そんな静電気から電子部品や精密機械などを守るための特別な袋のことです。
①静電気を抑える
静電気対策袋は、特別な素材で作られていて、静電気が発生しにくいように工夫されています。
②製品を保護
静電気に弱い電子部品などを包み込むことで、静電気によるダメージから守ります。
③安全な輸送
電子機器の製造現場や、製品を運ぶときにも使われ、安全に目的地まで届けることができます。
静電気は、電子部品を壊したり、製品の性能を低下させたりする原因になります。特に、スマートフォンやパソコンに使われているような小さな電子部品は、静電気の影響を受けやすいのです。
静電気対策袋を使うことで、これらのトラブルを防ぎ、より安全に製品を扱うことができます。
※「静電気対策袋」と一口に言っても、実は様々な種類があり、それぞれに合った使い方があるんです。大きく分けると、以下の2種類に分類されます。
特徴: 静電気が発生しにくく、徐々に放電していく性質を持っています。
用途
【メリット】
【デメリット】
特徴: 電気を通す性質があり、帯電した物体に触れると素早く電気を逃がします。
【用途】
【メリット】
【デメリット】
※製品の種類や取り扱う環境によって、最適な袋は異なります。
静電気対策袋には、大きく分けると帯電防止袋と導電袋の2種類があります。それぞれの特徴や用途が異なるため、製品に合わせて適切な袋を選ぶことが大切です。
特徴: 静電気が発生しにくく、徐々に放電していく性質を持っています。
【用途】
【注意点】
特徴: 静電気を帯びた物体に触れると、素早く電気を逃がす高い導電性を持っています。
【用途】
【メリット】
帯電防止袋には、大きく分けて2つの種類があります。
① 帯電防止剤(界面活性剤タイプ)練り込みタイプ
② 高分子タイプ帯電防止剤タイプ
どの帯電防止袋を選ぶかは、何を包むか、どれくらいの期間使うかなどによって変わってきます。
帯電防止剤練り込みタイプの袋は、袋を作る際に、静電気を防ぐための成分(帯電防止剤)を混ぜて作られています。この帯電防止剤は、一般的に界面活性剤と呼ばれるものが使われています。
【メリット】
【デメリット】
界面活性剤は、水と油を混ぜ合わせる働きを持つ物質です。この界面活性剤には、静電気を抑える効果もあるため、帯電防止剤として利用されています。
1.界面活性剤が表面に現れる: 帯電防止剤は、袋の表面に染み出してきます。
2.水分を吸着する: 染み出した界面活性剤は、空気中の水分を吸着し、表面に薄い水の膜を作ります。
3.電気を流す: この水の膜が導体となり、静電気を逃がします。
帯電防止剤は水と仲良しですが、プラスチックの材料となる油とは仲が悪いため、プラスチックの中にいると居心地が悪く、表面に出てきてしまうのです。
高分子タイプ帯電防止袋は、袋の素材自体に、静電気を防ぐ機能を持たせたタイプの袋です。
【メリット】
【デメリット】
【界面活性剤タイプ】
帯電防止の仕組み:空気中の水分を利用
効果の持続性:短期~中期
湿度への依存性:高い
価格:安い
製品への影響:有
【高分子タイプ】
帯電防止の仕組み:素材自体が帯電しにくい
効果の持続性:長期
湿度への依存性:低い
価格:やや高い
製品への影響:少ない
高分子タイプ帯電防止袋は、高い性能と安全性から、精密機器や食品など、より高度な静電気対策が求められる分野で広く利用されています。
導電袋は、静電気を帯びた物体に触れると、すばやくに電気を逃がすことができる袋です。帯電防止袋よりも高い導電性を持っているため、静電気による製品の損傷を防ぐために使用されます。
特徴
【メリット】
【デメリット】
導電袋は、袋の素材自体に導電性を持たせることで、静電気を逃がす仕組みになっています。これは、アース線で静電気を大地に流すのと同じ原理です。
帯電防止袋と導電袋は、導電性の違いによって区別されます。
カーボンブラックとは、非常に細かい炭素の粉末のことです。
全体的な粒径範囲は3~500ナノメートルとされています。
カーボンブラックの主な特徴
黒色: その名の通り、真っ黒な色をしています。
微粒子: 目に見えないほど小さな粒子が集まってできています。
軽さ: 比重が小さく、非常に軽い物質です。
導電袋におけるカーボンブラックの特徴
超微粒子: 目に見えないほど小さな粒子で構成されており、プラスチックに均一に分散させることができます。
高い導電性: 炭素の性質上、電気を通しやすく、静電気の発生を抑制する効果があります。
※一般的に、カーボンブラックの添加量が増えるほど、抵抗値は低下します。
カーボンブラックを練り込んだ導電袋の場合、表面抵抗値は10×4乗Ω以下(計測値)の製品が一般的です。
高い着色力: 黒色であり、プラスチック製品に深みのある黒色を付与することができます。
補強効果: ゴム製品への添加剤として用いられるように、プラスチックの強度を向上させる効果も期待できます。
カーボンブラックのメリット
静電気防止: 製品の表面に帯電する静電気を抑制し、ホコリの付着や製品へのダメージを軽減します。
導電性付与: 電子部品の包装など、導電性を必要とする製品に適しています。
電磁波シールド: 電子機器から発生する電磁波を遮蔽する効果が期待できます。
着色: 製品に黒色を付与し、デザイン性を高めることができます。
強度向上: 一部の樹脂に対しては、強度を向上させる効果が期待できます。
カーボンブラックのデメリット
分散性: プラスチックに均一に分散させることが難しく、ムラが発生する可能性があります。
着色: 黒色であるため、製品の色に制限を与えることがあります。
カーボンブラック導電袋の用途
電子部品の包装:液晶関連製品や電子部品など
アース用部品
遮光性の高い包装
カーボンブラックが使われている導電袋
カーボン練り込み導電袋 | 株式会社 ケンエー (kenei-grp.com)
カーボンナノチューブは、炭素原子だけで構成された非常に細い筒状の物質です。
その直径はナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)オーダーと極めて小さく、原子レベルで見たときに、炭素原子が六角形の網目状に連なってチューブを形成しているのが特徴です。
カーボンナノチューブの特徴
高い強度: 鋼鉄の20倍以上の強度を持つと言われ、非常に強く、軽量な素材です。
高い電気伝導性: 金属のような高い電気伝導性を持つものから、半導体のような性質を持つものまで、様々な種類があります。
※一般的に、カーボンナノチューブの添加量が増えるほど、抵抗値は低下します。
表面抵抗値は10×-6Ω以下(計測値)へ調整をすることも可能と言われています。
高い熱伝導性: 銅よりも高い熱伝導性を持ち、熱を効率よく移動させることができます。
化学的安定性: 一般的に化学的に安定しており、耐熱性にも優れています。
カーボンナノチューブの種類
単層カーボンナノチューブ (SWCNT)
炭素原子が1層で構成されたチューブです。
直径約1~4 nmと細くてしなやかな特徴があります。
導電性や熱伝導性に極めて優れ、化学反応性も高いといった特長があります。このような特長を生かして、単層CNTはゴム・樹脂・金属などとの複合材料として使われるほか、エレクトロニクスデバイスとしてさまざまな用途へ応用が進んでいます。高品質・高機能な単層CNTは製造が難しく、普及には製造コストの高さが課題となっています。
多層カーボンナノチューブ (MWCNT)
炭素原子が複数層で構成されたチューブです。
直径約4~150 nmと太くて高強度な特徴があります。
多層CNTは、現時点では単層CNTと比べて安価に生産でき、世界中のメーカーが生産しています。主に携帯端末や電気自動車などに搭載されているリチウムイオン電池の導電助剤として需要があるとされています。その他にもバドミントンやテニスのラケット、ゴルフクラブのシャフトなどのスポーツ用品ヒーターベストなどの発熱材料に使用されるなど、身近なところでもCNTは使われています。
導電袋におけるカーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、その特異な構造と優れた特性から、近年様々な分野で注目を集めています。製袋分野においても、その高い強度、導電性、熱伝導性などが期待され、注目されています。
カーボンナノチューブの特徴
高い強度: 鋼鉄の20倍以上の強度を持つと言われ、非常に強く、軽量な素材です。
高い電気伝導性: 金属のような高い電気伝導性を持つものから、半導体のような性質を持つものまで、様々な種類があります。
高い熱伝導性: 銅よりも高い熱伝導性を持ち、熱を効率よく移動させることができます。
高い表面積: その微細な構造から、非常に大きな表面積を持ち、他の物質との相互作用が期待できます。
導電袋におけるカーボンナノチューブのメリット
高強度・高耐久性: 製品の強度を向上させ、破れにくく、耐久性のある包装材を実現できます。
導電性: 静電気防止効果があり、電子部品などの静電気によるダメージを防ぐことができます。
遮蔽性: 電磁波を遮蔽する効果があり、電子機器の保護に役立ちます。
導電袋におけるカーボンナノチューブのデメリット
高コスト: まだ大量生産が難しく、高価な材料であるため、製品のコスト上昇につながることがあります。
分散性: プラスチックなどの基材に均一に分散させることが難しく、製造プロセスが複雑になることがあります。
環境負荷: 生産過程や廃棄時に環境負荷が生じる可能性があります。
カーボンナノチューブ導電袋の具体的な用途
電子部品の包装:半導体デバイスや集積回路・液晶ディスプレイ部品やプリント基板など
静電気敏感デバイス(ESD)の保護
電磁波シールド
高性能パッケージング
特殊用途
航空宇宙産業: 高性能な電子機器の保護
医療機器: 精密な医療電子機器の保護
自動車産業: 車載電子部品の保護
カーボンナノチューブが使われている導電袋
カーボンナノチューブ:STAT-CNT | 株式会社 ケンエー (kenei-grp.com)
① 湿度によって効果が変わる
② 製品への付着の可能性
③ 長期保管には不向き
① バッテリーへの影響
帯電防止袋と導電袋は、それぞれに特徴と注意点があります。製品の特性や保管環境に合わせて、適切な袋を選ぶことが大切です。
湿度や時間の経過によって効果が変化するため、保管環境に注意が必要です。また、製品への付着にも注意しましょう。
バッテリーなどの電子部品を入れる際は、必ず絶縁材などを挟むなど、適切な対策が必要です。
静電気対策には帯電防止袋や導電袋が用いられますが、用途によって製品を使い分けます。
例えば、ホコリよけや電子部品の包装には帯電防止袋が、引火対策には導電袋が適しています。
帯電防止袋にはクリーンポリ袋やチャック袋があり、いずれも界面活性剤練り込みタイプの帯電防止袋が一般的です。
チャック付き帯電防止袋は、シール工程を省ける、チャック部分も帯電防止機能がある、一体成型なので強度があるなどのメリットがあります。
これらの点を考慮し、適切な静電気対策を行いましょう。
ご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。