2024.05.10 静電気
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前のページであったように静電気って、車のドアでピリっと来たり、ポリ袋が手について離れない等、日常でよく感じるますよね。
これらは、私たちの体が帯電している証拠なんです。
人が動くたびに、物と体が触れたり離れたりすることで、静電気が発生します。
座る、立つ、歩くといった簡単な動作でも、静電気が溜まっていくのです。
人が感じる程度の痛みを伴う静電気は、約3,000ボルト(3kV)と言われています。
1,000ボルト(1kV)以下だと、ほとんど感じないことが多いです。
特に冬場、合成繊維の服同士がくっついてしまう現象。
乾燥した日に、櫛で髪を梳かすと髪の毛がまとわりつくように立つ。
乾燥した状態で金属に触れると、小さな電気ショックを受ける。
印刷された紙同士が静電気でくっつき、剥がすのが大変。
日常生活では些細と感じられる静電気も、製造現場では大きな問題になることがああります。
静電気によって、電子部品が壊れたり、製品にゴミが付着したりすることがある。
可燃性の物質を取り扱う場所では、静電気による火花が原因で火災や爆発を引き起こす可能性がある。
電子部品や精密機器は、微弱な静電気でも故障してしまうことがある。
可燃性の物質を取り扱う場所では、小さな火花が大きな事故につながる可能性がある。
静電気によるトラブルは、作業の遅延や製品の不良につながり、生産性を低下させる。
静電気は、私たちの生活に身近な現象でありながら、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
特に、製造現場などでは、小さな静電気でも大きな問題になってしまうことがあります。
次の項目では、製造現場等で考えられる静電気トラブルについてお話していきます。
静電気は、私たちの生活だけでなく、様々な産業でも大きな問題を引き起こしています。
特に、精密機器や電子部品を取り扱う製造現場では、静電気によるトラブルが製品の品質低下や生産性の低下に繋がることがあります。
静電気による放電で電子部品が損傷します。
半導体やICなどの電子部品は、静電気による放電で簡単に破壊されてしまいます。微細な回路が焼損したり、データが破損したりするなど、製品の機能不全を引き起こします
静電気によって基板がショートし、製品が動作しなくなる。
静電気によるノイズが原因で、電子部品が誤動作を起こすことがあります。これは、精密機器や制御システムにおいて特に問題となります。
静電気によって、粉塵が製品の表面に強く付着し、製品の品質を低下させます。特に、精密機器や光学製品の製造現場では、微細な塵の影響が大きくなります。
粉塵が空気中に浮遊し、作業者の健康を害したり、作業環境を悪化させたりします。
可燃性の液体やガス、粉塵などが静電気の火花によって引火し、火災が発生する可能性があります。
爆発性の物質を取り扱う現場では、静電気の放電が爆発を引き起こすことがあります。
静電気によって塗料粒子が偏り、製品にムラが生じます。特に、平面度の低い製品や細かい形状の製品では、ムラが目立ちやすくなります。
静電気によって塗料の付着力が低下し、塗装が剥がれやすくなることがあります。これは、製品の耐久性を低下させ、外観を損なう原因となります。
フィルムやシート状の素材が静電気によって巻き付いてしまい、加工が困難になることがあります。
印刷機やコピー機などで、紙が静電気によってジャムることがあります。
産業分野 | 帯電体 | トラブルの例 |
半導体業界 | 製品パッケージ | 劣化 |
回路 | 回路破壊 | |
作業者 | 製造中製品の破壊 | |
電気関係 | 絶縁体材料 | 回路・デバイスの破壊 機会の誤作動など |
作業者等 | ||
化学業界 | 繊維 | 糸のからみ等 |
フィルム | ホコリの付着やローラーへの巻付等 | |
その他 | ホコリの付着等 | |
その他 | 粉体 | 静電気放電による粉塵爆発 飛び散り等 |
湿度が低い環境では、静電気が発生しやすく、持続時間も長くなります。
異なる素材同士が接触したり擦り合わされたりすると、静電気が発生しやすくなります。
物体が高速で移動すると、空気との摩擦により静電気が発生しやすくなります。
粉塵が多い環境では、粉塵が帯電しやすく、静電気トラブルの原因となります。
静電気が問題となる理由は、そのエネルギーの大きさだけでなく、目に見えないという点にあります。
数十ボルト程度の静電気でも、精密な電子部品にとっては致命的なダメージとなることがあります。
静電気は一瞬で放電するため、発生源を特定するのが難しく、対策が遅れてしまうことがあります。
静電気が発生すると、ホコリやゴミを引きつけやすくなり、製品に異物が混入する原因となります。
静電気によるトラブルを防ぐためには、発生源の特定と適切な対策が不可欠です。
静電気は、私たちの生活だけでなく、産業においても様々なトラブルを引き起こす厄介な存在です。
しかし、適切な対策を行うことで、静電気による被害を最小限に抑えることができます。
静電気対策は、製品の品質向上だけでなく、作業員の安全確保にもつながります。
次のこのページで解説していきます。