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2024.10.22 NEW

防湿袋とは?防湿の方法・様々な防湿手法

1.防湿袋とは?
防湿袋は、電子部品、精密機器、食品など、湿気に弱い製品を湿気から守り、品質を保つために使用される袋のことです。
防湿性能は主に「水蒸気透過度」といった言葉で計られることが一般的です。
2層以上のラミネート構造で構成されている袋が広く普及しています。
1-1.なぜ防湿性能が必要なのでしょう?
防湿袋の役割について
湿気からの保護
工業用防湿袋の主な目的は、製品を湿気から守ることです。
湿気は多くの工業製品にとって深刻な問題を引き起こす可能性があります
酸化防止
湿気は金属部品の酸化や腐食を引き起こす主な要因です。
防湿袋を使用することで、これらの問題を防ぎ、製品の寿命を延ばすことができます
性能維持
精密機器や電子部品は湿気に非常に敏感です。防湿袋を使用することで、これらの製品の性能低下を防ぎ、品質を維持することがで
きます
静電気からの保護
多くの工業用防湿袋は、静電気シールド機能も備えています。静電気対策: 静電気は電子部品に深刻なダメージを与える可能性があ
ります。防湿袋の静電気シールド機能により、製品を静電気から保護し、安全に保管・輸送することができます
長期保存と輸送
工業用防湿袋は、製品の長期保存や輸送時の保護にも重要な役割を果たします。
長期保管
高い防湿性能により、倉庫や工場など湿度が高い環境でも製品を長期間安全に保管することができます
輸送時の保護
防湿袋は製品を外部環境から守り、輸送中の品質劣化を防ぎます
包装の簡素化
防錆のためのオイル塗布や過剰包装が不要になり、包装プロセスを簡素化できます
工業用防湿袋は、製品の品質を保つために非常に重要な役割を果たします。製品の種類や保管環境に合わせて適切な防湿袋を選ぶこ
とで、製品の寿命を延ばすことができます。
1-2.補足内容
水蒸気透過度?酸素透過度とは?
たとえばビニールはプラスチックフィルムの一種とも言えますが、
これらは水分や水蒸気、酸素や二酸化炭素、窒素やガスを一定量透過します。
日常的に使っている分には、水漏れといった現象は気にならないかもしれませんが、
袋を閉めたしているにもかかわらず「におい」が出てきてしまうといった経験はないでしょうか?
もしくは水は通していないはずのに、湿気を通してしまっているような状況になったことはないでしょうか?
これは袋を密閉していても、一定量の分子が袋を通過していることで発生しているのです。
ポリ袋は水蒸気やガスを透過させる
プラスチックフィルムの持つこうした透過性は素材の種類ごとに異なり、
中にはバリア性能の高いものもありますが、100%は遮断することができません。
一般的にポリ袋と言った場合、薄い袋やプラスチックで作られたフィルム、シートのことを差すことがあります。
この透過性は高密度のポリエチレン(HDPE)と、低密度のポリエチレン(LDPE)で異なり、
ナイロンなど素材によって空気や水蒸気の透過率は異なります。
例えばスーパーや量販店などで目にする袋は、ポリエチレンであるLDPEかHDPEなどが多く使用されておりますが、
それぞれの袋でも水蒸気透過度・酸素透過度が異なります。
水蒸気が透過するのはなぜ?
水とは水分子であり、この分子を通すのであれば、水蒸気が透過することとなります。
フィルムの表面に吸着した湿気は、水分子としてフィルム内に溶け込んでいきます。
この水分子は広がりながらフィルムの中を通過して反対側の表面に達して蒸散する、というイメージですね。
ただ水蒸気の透過は、高湿度から低湿度の方向へ蒸散していきます。
袋の内部が外よりも低い湿度であれば、水蒸気は高い湿度のほうから低い湿度のほうへ流れていきます。
このときに水蒸気透過度の低い素材を使用することで、水蒸気の透過を抑えることができるのです。
2.主な防湿袋の種類
1.アルミ防湿袋
2.アルミ蒸着袋
3.アルミナ蒸着袋
4.シリカ蒸着袋
5.静電気対策防湿袋
3.各防湿袋の特徴とメリット・デメリット
3-1.アルミ箔防湿袋
アルミ箔防湿袋とは
アルミ箔防湿袋は、その高い防湿性と遮光性、バリア性が特徴です。
特徴
高い防湿性: 水蒸気をほとんど通さないため、湿気による製品の劣化を防ぎます。
遮光性: 光を遮断するため、光に弱い製品の変色や劣化を防ぎます。
バリア性: 酸素やその他のガスを通しにくく、酸化や変質を防ぎます。
耐熱性: ある程度の耐熱性があり、高温環境下でも変形しにくいものがあります。
遮音性: ある程度の遮音性があり、外部からの衝撃や振動から製品を保護します。
一般的なアルミ防湿袋の水蒸気透過度:0.1g/m2/day以下
アルミ箔防湿袋のメリット
製品の品質保持: 湿気、光、酸化などによる製品の劣化を防ぎ、品質を長期にわたって保つことができます。
幅広い用途: 電子部品、精密機器、食品、薬品など、様々な製品の保管に利用できます。
安全性: 食品の鮮度保持や、薬品などの漏出防止に役立ちます。
アルミ箔防湿袋のデメリット
価格: 一般的なプラスチック袋に比べて高価な場合があります。
熱に弱い: 高温になると変形する可能性があります。
鋭利なもので傷つけやすい: 鋭利なもので傷つけると、防湿効果が低下する可能性があります。
柔軟性に欠ける: アルミ箔単体では柔軟性に欠けるため、取り扱いに注意が必要です。
リサイクル: プラスチック袋に比べてリサイクルが難しい場合があります。
3-2.アルミ蒸着袋
アルミ蒸着袋とは
プラスチックフィルムにアルミニウムを真空蒸着させて製造されます。
この製法により、非常に薄いアルミ層が形成され、独特の特性を持つようになります
特徴
薄いアルミ層による優れたバリア性
軽量で柔軟性がある
一定の透過性を持つ
一般的なアルミ防湿袋の水蒸気透過度:0.1 g/m²/day以下
メリット
優れたバリア性能:アルミ蒸着袋は、酸素、水蒸気、光、匂いなどの外部要因から内容物を効果的に保護します
これにより、食品の鮮度を長期間保つことができ、製品の品質を維持することが可能です。
軽量で強度が高い:非常に薄いアルミフィルムを使用しているにもかかわらず、高い強度を持ちます。これにより、物流コストの削
軽量で強度が高い:非常に薄いアルミフィルムを使用しているにもかかわらず、高い強度を持ちます。これにより、物流コストの削
減や取り扱いの容易さにつながります
環境負荷の低減:アルミ箔に比べ、使用する素材が少なくて済むため、資源の節約につながります。
コスト効率が良い:製造プロセスが効率化されているため、コストを抑えることができます。
特に食品業界では、製品の保存期間を延ばしつつコストを削減する重要なツールとして利用されています
食品の鮮度保持に適している:アルミ蒸着袋の透過性を調整することで、食品の保存状態を最適化することができます。
適度な酸素の透過性を持たせることで、食品内部の酸化を防ぎつつ、一定の鮮度を保つことが可能です
デメリット
耐熱性:アルミ蒸着袋は、アルミ箔と比較して耐熱性が低いという欠点があります。
そのため、高温を必要とする調理方法や、高温下での保存には適していません
バリア性能の限界:アルミ箔と比較すると、光や空気、水などの透過防止力はやや劣ります。
これは、アルミニウム粒子間に微細な隙間が存在するためです
用途の制限:耐熱性の低さや一定の透過性があることから、完全な遮断が必要な製品や高温での使用が求められる場合には適してい
ません。
3-3.アルミナ蒸着袋
アルミナ蒸着袋とは
アルミナ蒸着袋とは、フィルムの表面にアルミナ(酸化アルミニウム)を非常に薄い膜として蒸着させた袋のことです。
このアルミナ層が、袋に様々な機能をもたらします。
アルミナ蒸着袋の特徴
高い透明性: ガラスのように透明で、中身が見えるため、商品のアピールに繋がります。
高い硬度: 表面が硬く、傷つきにくいため、製品を保護します。
耐熱性: 高温でも変形しにくく、熱に弱い製品の包装に適しています。
耐薬品性: 酸やアルカリなどの薬品に強く、腐食しにくい特性があります。
バリア性: ガスや水蒸気を透過しにくく、内容物の酸化や変質を防ぎます。
電気絶縁性: 電気を通しにくいため、電子部品などの包装に適しています。
一般的なアルミ防湿袋の水蒸気透過度:0.1 g/m²/day以下
アルミナ蒸着袋のメリット
鮮度保持: バリア性が高いため、食品の酸化や風味の劣化を防ぎ、鮮度を長く保ちます。
品質保持: 外気や湿気、光から製品を保護し、品質を保ちます。
透明性: 中身が見えるため、商品のアピールとなり、購買意欲を高めます。
耐熱性: 熱に弱い製品の包装に適しており、高温での殺菌処理も可能です。
耐薬品性: 薬品に強いので、医薬品や化学製品の包装に適しています。
アルミナ蒸着袋のデメリット
コスト: 一般的なプラスチックフィルムに比べて、製造コストが高い傾向にあります。
印刷適性: アルミナ層に直接印刷することが難しく、印刷の際は特別なインクや方法が必要になる場合があります。
柔軟性: アルミ蒸着袋に比べて、柔軟性に欠ける場合があります。
3ー4.シリカ蒸着袋
シリカ蒸着袋とは
シリカ蒸着袋は、プラスチックフィルムに酸化ケイ素(シリカ)を真空蒸着させて製造されます。
シリカ蒸着袋は、防湿性能面でアルミ箔と比較すると防湿性や酸素透過率は低い性質があります。
より高いバリア性が必要な場合は、他素材との積層化(ラミネート)によってバリア性をより安定させることができます。
特徴
透明性がある
優れたバリア性能
電子レンジ使用可能
レトルト処理可能
一般的なシリカ蒸着袋の水蒸気透過度:水蒸気透過度:0.1~0.6 g/m²/day
メリット
透明性:シリカ蒸着袋は透明性があるため、中身を確認することができます
これは、アルミ蒸着フィルムにはない特性で、製品の視認性を高めます。
電子レンジ・レトルト対応:電子レンジでの使用が可能で、レトルト処理にも対応しています
これにより、食品包装において幅広い用途に適用できます。
安定したバリア性能:シリカ蒸着のバリア性能は温度依存性が低く、ボイルや加熱時も安定した性能を発揮します
安定したバリア性能:シリカ蒸着のバリア性能は温度依存性が低く、ボイルや加熱時も安定した性能を発揮します
これは、食品の品質保持に重要な特性です。
多様な用途:ボイルやレトルト食品、電子レンジ食品用包装、スナック菓子や和菓子、脱酸素剤、医薬品、化学薬品包装など、幅広
い分野で使用されています
デメリット
バリア性能の制限:シリカ蒸着フィルムは、アルミ箔と比較すると防湿性や酸素透過率がやや劣ります
完全な遮断が必要な製品には適さない場合があります。
強度の制限:アルミ蒸着袋と比較すると、強度がやや劣る可能性があります。
これは、シリカ層の特性によるものです。
コスト:製造プロセスの複雑さから、一般的なプラスチック袋やアルミ蒸着袋と比べてコストが高くなる可能性があります。
代表的なシリカ蒸着フィルム
基材別の種類
PETシリカ蒸着フィルム: ポリエチレンテレフタレート(PET)を基材としたもの。最も一般的に使用されています
OPPシリカ蒸着フィルム: 延伸ポリプロピレン(OPP)を基材としたもの
ONYシリカ蒸着フィルム: 延伸ナイロン(ONY)を基材としたもの
シリカ蒸着フィルムの代表的な製品
GL、GX (凸版印刷様)
テックバリア(三菱樹脂様)
IB (大日本印刷様)
エコシアール(東洋紡様)
これらの商品は、主にPETを基材としていますが、一部の製品ではONY(延伸ナイロン)やOPP(延伸ポリプロピレン)なども基材と
して使用されています
これらの製品は、食品包装や医薬品包装など、高いバリア性と透明性が求められる用途で広く使用されています。
3-5.静電気対策防湿袋
静電気対策防湿袋とは
静電気対策防湿袋は、静電気の発生を抑制し、湿気から内容物を保護する機能を併せ持っています。
特徴
静電気の発生と蓄積を防ぐ
高い防湿性能
多層構造のフィルム
水蒸気透過度:構成されているフィルムに依存します。
メリット
静電気からの保護:静電気対策防湿袋は、静電気の発生を抑制し、電子部品や精密機器を静電気放電(ESD)から保護します
これにより、製品の破損や性能低下を防ぐことができます。
湿気からの保護:高い防湿性能により、内容物を湿気から守ります。これは特に電子部品や半導体など、湿気に敏感な製品の保護に
使用されています。
製品の安全な輸送と保管:静電気と湿気の両方から保護することで、製品を安全に輸送・保管することができますシリカ蒸着タイプ
デメリット
コスト:一般的な包装材料と比較すると、製造コストが高くなる傾向があります。
再利用の制限:真空引きして使用されることも多く、静電気対策や防湿性能を維持するため、再利用が難しい場合があります。
3-6補足情報
多層ラミネート防湿袋とは
防湿性能やガスバリア性能、静電気対策機能、を付与するために
様々フィルムを1枚のフィルムにラミネートした袋です。
特徴
高い防湿性: 複数のフィルムを組み合わせることで、水蒸気を効果的に遮断し、高い防湿性を確保します。
バリア性: 酸素、二酸化炭素、臭気など、様々なガスに対して高いバリア性を発揮します。
耐油性: 油分を通しにくく、油脂を含む製品の包装に適しています。
耐熱性: ある程度の耐熱性があり、高温環境下でも変形しにくいものがあります。
遮光性: アルミ箔などを含む場合は、遮光性も高くなり、光に弱い製品の保護に役立ちます。
多層ラミネート防湿袋のメリット
高い性能: 防湿性、バリア性、耐熱性など、様々な性能を組み合わせることが可能です。
高い性能: 防湿性、バリア性、耐熱性など、様々な性能を組み合わせることが可能です。
幅広い用途: 食品、医薬品、電子部品など、様々な分野で利用できます。
長期保存: 製品を長期にわたって保存するのに適しています。
カスタマイズ: 必要な性能に合わせて、フィルムの種類や層数をカスタマイズできます。
多層ラミネート防湿袋のデメリット
価格: 一般的なプラスチック袋に比べて高価な場合があります。
リサイクル: 複数のフィルムを貼り合わせてあるため、リサイクルが難しい場合があります。
柔軟性: フィルムの種類によっては、柔軟性に欠ける場合があります。
4.工業用防湿袋と防湿方法:様々な手法とその効果
工業製品の品質を維持し、長寿命化するためには、適切な防湿対策が不可欠です。特に、電子部品、精密機器、金属部品など、湿気
に弱い製品に対しては、高度な防湿技術が求められます。
4-1.工業用防湿袋の役割と特徴
工業用防湿袋は、その内部を乾燥状態に保ち、製品を湿気から保護する役割を担います。
材料: ポリエチレン、ナイロン、アルミ蒸着フィルムなど、高い気密性と耐水性を備えた材料が使用されます。
構造: 複数の層を重ね合わせたり、乾燥剤を内蔵したりすることで、より高い防湿効果を実現します。
種類: 製品の種類や大きさ、必要な防湿レベルに応じて、様々な形状やサイズの防湿袋が用意されています。
4-2.工業用防湿袋を用いた防湿方法
乾燥剤との併用:
シリカゲル: 吸湿性が高く、幅広い温度範囲で安定した吸湿性能を発揮します。
酸化カルシウム: 吸湿力が強く、大気中の水分を効率的に吸収します。
分子ふるい: 特定の分子サイズの水分子のみを吸着し、選択的な乾燥が可能です。
真空パック:
袋内の空気を抜き、真空状態にすることで、酸素や水分による劣化を防ぎます。
製品を密閉し、外部からの汚染を防ぐ効果もあります。
窒素充填:
袋内に窒素ガスを充填することで、酸化を防ぎ、製品の寿命を延ばします。
電子部品など、酸化に弱い製品に適しています。
多層構造:
異なる素材のフィルムを重ね合わせることで、気密性、遮光性、耐熱性などを向上させます。
高い防湿性能が求められる製品に利用されます。
5.防湿袋の防湿手法
防湿袋は、製品を湿気から守り、品質を保つために様々な手法を用いています。主な防湿手法とその特徴を以下にまとめます。
5-1. バリア性フィルムの使用
原理: 高いバリア性を持つフィルム(アルミ箔、ナイロンなど)を袋の素材として使用することで、水蒸気の透過を防ぎます。
特徴:
高い防湿性: 水蒸気だけでなく、酸素やその他のガスも遮断できます。
多様な組み合わせ: フィルムの種類や層数を組み合わせることで、様々なレベルの防湿性能を実現できます。
耐熱性・耐寒性: 使用するフィルムの種類によって、耐熱性や耐寒性も調整できます
5-2.蒸着
蒸着の基礎知識
蒸着は、光の反射を防止したり、増加させたり、撥水性や防汚性を高め、
物理的刺激から機能を守るなどの目的に利用される薄膜コーティング技術です。
精密機器のような塗装ができない製品にも適用でき、機能に影響を与えることなくコーティングが可能です。
「蒸着」とは、物質を蒸発させて膜を形成する方法を指しており、
素材の表面にコーティング成分を付着させるための技術として知られています。
蒸着する方法は以下のように複数の方法があります。
(1)アルミ蒸着
アルミ蒸着とは、包装材料の製造過程で使用される重要な技術です。
真空状態でアルミニウムを加熱・蒸発させ、その蒸気をプラスチックフィルムなどの基材表面に薄く均一に付着させる技術です。
アルミ蒸着フィルムはガスバリア性・防湿性・保香性に非常に優れており、紫外線や赤外線の遮断効果もあります。
アルミ蒸着の蒸着過程
真空環境の作成
蒸着を行う装置内を高真空状態にします。
アルミニウムの加熱
アルミニウムを高温で加熱して蒸発させます。
蒸気の付着
蒸発したアルミニウムが基材(通常はポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム)の表面に付着します。
薄膜の形成
付着したアルミニウムが冷却され、非常に薄い均一な層を形成します。
(3)アルミナ蒸着
アルミナ蒸着とは、アルミナ(酸化アルミニウム)を非常に薄い膜として、別の素材の表面に付着させる技術のことです。
真空状態の中でアルミナを高温に加熱し、蒸発させたものを対象物の表面に到達させ、冷却することで膜を形成します。
アルミナ蒸着の蒸着過程
アルミナ蒸着は、真空環境下でアルミナ(酸化アルミニウム)を蒸発させ、基板上に薄膜を形成するプロセスです。このプロセスは、
真空度、基板温度、蒸着速度など、様々なパラメータによって膜質が大きく左右されます。
真空引き: 蒸着チャンバー内の空気を抜き、高真空状態にします。真空にすることで、蒸発したアルミナ原子が空気中の分子と衝突
せずに基板に到達し、高品質な膜を形成することができます。
加熱: アルミナターゲットを加熱します。加熱方法としては、電子ビーム、抵抗加熱、高周波誘導加熱などがあります。
蒸発: 加熱されたアルミナは蒸発し、原子や分子となってチャンバー内に拡散します。
堆積: 蒸発したアルミナ原子が基板に衝突し、冷却されて膜を形成します。
冷却: 蒸着が終了したら、チャンバーをゆっくりと冷却し、膜を安定化させます。
(2)シリカ蒸着
シリカ蒸着とは、透明蒸着フィルムの一種です。
別名「酸化ケイ素蒸着フィルム」や、「ガラス蒸着」とも呼ばれており、
透明蒸着も通常のアルミ蒸着フィルムと同様に真空蒸着を利用しますが、アルミの代わりに酸化ケイ素や酸化アルミを使用します。
酸化ケイ素を使用したものをシリカ蒸着、酸化アルミを使用したものをアルミナ蒸着と呼ばれています。
シリカは、ガラスの原料としても有名でケイ素の酸化物をシリカと呼びます。
アルミナはセラミックス材料としても使用されます。
シリカ蒸着フィルムは、静電対策防湿袋や食品包装用や医薬品包装にも広く使用されているのです。
製造方法
真空中で酸化ケイ素(シリカ)を加熱・蒸発させ、プラスチックフィルムなどの基材表面に薄く均一に付着させます。
特性
透明性が高く、内容物の確認が可能です。
かすかに黄みや褐色が見られる透明な素材です。
優れたバリア性能を持ちます。
アルミ箔と比較すると防湿性や酸素透過率はやや劣ります。
シリカ蒸着の蒸着過程
真空環境の作成
蒸着を行う装置内を高真空状態にします。
原料の準備
酸化ケイ素(シリカ)を蒸着原料として使用します。
加熱・蒸発
シリカを抵抗加熱、誘導加熱、電子ビーム加熱等の手段で加熱し、気化させます。
蒸気の付着
気化したシリカが基材(通常はフィルムなど)の表面に付着します。
薄膜の形成
付着したシリカが冷却され、非常に薄い均一な層を形成します。
(3)スパッタリング
スパッタリングとは、真空中で薄膜を形成する物理気相成長(PVD)法の一つです。
製造過程
真空チャンバー内にターゲット(成膜材料)と基板を設置します。
不活性ガス(主にアルゴン)を導入し、電圧を加えてプラズマを生成します。
ガスイオンがターゲットに高速で衝突し、ターゲット材料の粒子を弾き飛ばします。
飛び出した粒子が基板に付着・堆積し、薄膜を形成します。
スパッタリングのターゲットなる主な金属
・アルミニウム
・ニッケル
・銀
・銅
・金
・ステンレス等
5-3.乾燥剤の封入
原理: シリカゲル、酸化カルシウムなどの乾燥剤を袋内に封入し、空気中の水分を吸収します。
特徴:
手軽さ: 袋に乾燥剤を入れるだけで防湿効果が得られます。
再生可能: 一部の乾燥剤は、加熱することで再生して繰り返し使用できます。
吸湿能力の限界: 湿度が高い環境下では、乾燥剤の吸湿能力が低下する可能性があります。
5-3. 脱酸素剤の封入
原理: 脱酸素剤が酸素を吸収し、袋内の酸素濃度を低下させることで、酸化を防ぎ、結果的に防湿効果も高めます。
特徴:
酸化防止: 食品の変色や風味の劣化を防ぎます。
カビ防止: 多くの食品において、カビの発生を抑制します。
脱酸素速度: 脱酸素速度が速いものや、ゆっくりとしたものなど、様々な種類があります。
6.補足情報:蒸着とスパッタリングの違いは?
蒸着とスパッタリングは両方とも薄膜形成技術ですが、以下のような違いがあります
原理
蒸着: 真空中で物質を加熱・蒸発させ、基板上に付着させる。
スパッタリング: イオンをターゲットに衝突させ、はじき飛ばされた粒子を基板上に堆積させる。
成膜速度
蒸着: 一般的にスパッタリングより速い。
スパッタリング: 蒸着と比べて遅い。
膜の付着力
膜の付着力
蒸着: 比較的弱い傾向がある。
スパッタリング: 強い付着力が得られる。
対応可能な材料
蒸着: 低融点材料に適している。
スパッタリング: 高融点材料や合金にも対応可能。
膜質
蒸着: 純度の高い成膜が可能。
スパッタリング: 合金や化合物の組成比を維持しやすい。
基板への影響
蒸着: 基板へのダメージが少ない。
スパッタリング: プラズマにより基板にダメージを与える可能性がある。
コスト
蒸着: 装置がシンプルで比較的安価。
スパッタリング: 装置が複雑で高価な傾向がある。
大面積対応
蒸着: 大面積への均一な成膜が難しい。
スパッタリング: 大面積でも均一な膜形成が可能。
7.ケンエーで取り扱っている防湿袋について
(1)帯電防止防湿袋|透明ハイバリアバック
帯電防止防湿袋|透明ハイバリアバック| 株式会社ケンエー(kenei-grp.com)
(2)帯電防止防湿袋|アルミ防湿袋
帯電防止防湿袋|アルミ防湿袋| 株式会社ケンエー(kenei-grp.com)
(3)帯電防止透明防湿袋|AS-TEDバッグ(受注生産品)
帯電防止透明防湿袋|AS-TEDバッグ(受注生産品) | 株式会社ケンエー(kenei-grp.com)
(4)アルミラミネートフィルム|アルミ防湿袋
アルミラミネートフィルム|アルミ防湿袋| 株式会社ケンエー(kenei-grp.com)
(5)半永久帯電防止袋|高分子型帯電防止バリア袋
半永久帯電防止袋|高分子型帯電防止バリア袋| 株式会社ケンエー(kenei-grp.com)
(6)Cera-PET : 透明性ガスバリア、防湿、帯電防止袋
Cera-PET : 透明性ガスバリア、防湿、帯電防止袋| 株式会社ケンエー(kenei-grp.com)

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