2024.10.22 NEW
アンチブロッキング剤とも呼ばれております。
一般的なポリエチレンフィルムには様々な添加剤が添加されています。
その中でも代表的な添加剤「スリップ材（ブロッキング防止剤）」について説明いたします。
１．ブロッキングとは？
フィルム作製時にフィルム同士が張りつく現象のことです。
ブロッキングは、フィルム表面が平滑で滑りが悪いため、互いに強く引き合い、一枚ずつ剥がすことが困難になります。
特に、湿度が高かったり、フィルム同士が密着した状態で長時間放置されると起こりやすくなります。
２．ブロッキング防止剤の特徴
ブロッキング防止剤は、フィルム表面に微細な凹凸を作り出すことで、フィルム同士の接触面積を減らし、
滑りを良くする働きがあります。
これにより、ブロッキングを防止し、袋の取り扱いをスムーズにすることができます。
３．メリット
ブロッキング防止：フィルム同士が張りつくのを防ぎ、加工時のシワや破れを防止します
滑り性向上：フィルム表面に安定した凹凸を形成することで、フィルムの滑り性が向上します
生産性向上：ブロッキングによる生産トラブルを防ぎ、フィルムの安定生産に寄与します
開口性改善：袋状の製品では、開口性が向上し、使用時の利便性が高まります
４．デメリット
コストの増加: ブロッキング防止剤を添加することで、製品のコストが上昇する可能性があります。
フィルムの特性に影響を与える場合がある: 一部のブロッキング防止剤は、フィルムの透明度や印刷適性に影響を与える場合があります。
製品へ添加剤の移行：ブロッキング剤の一部が製品に移行（付着）する場合があります。
５．ブロッキング剤が使用される袋
ブロッキング剤が使用される袋は、主にプラスチックフィルムで作られた袋です。
食品包装、工業製品の包装、農業用資材など、幅広い分野で利用されています。
ブロッキング剤が使用される主な袋の例
工業製品の包装:
電子部品の袋
医薬品のパック
化学製品の袋
農業用資材:
農業用フィルム
種子袋
肥料袋
６．製袋においてブロッキング防止剤が添加される工程は？
下記の工程で添加されることがあります。
樹脂への練り込み
フィルム製造の初期段階で、樹脂ペレットにアンチブロッキング剤を直接混ぜ込みます。
フィルム全体に均一にアンチブロッキング剤を分散させることができます。
コーティング
フィルム表面にアンチブロッキング剤を含むコーティング液を塗布する方法です。
この方法は、フィルム表面のみにアンチブロッキング効果を付与したい場合に適しています。
共押出法
多層フィルムを製造する際、特定の層にのみアンチブロッキング剤を添加する方法です。
表面層にのみ添加することで、内部層の特性を維持しつつ、表面特性を改善できます。
７．ブロッキング防止剤とスリップ材の違いは？
アンチブロッキング剤とスリップ剤は、どちらもプラスチックフィルムの表面特性を改善するために使用される添加剤ですが、
その目的と機能に違いがあります。
アンチブロッキング剤
アンチブロッキング剤
主な目的:
フィルム同士が密着して貼り付くのを防ぐことです
作用メカニズム:
フィルム表面に微細な凹凸を形成し、接触面積を減少させることでブロッキングを防止します
特徴:
フィルムの透明性を維持しつつ、ブロッキングを防止します。
フィルムの開口性を改善します
スリップ剤
主な目的:
フィルムの表面摩擦を低減し、滑りやすくすることです。
作用メカニズム:
フィルム表面に移行して薄い層を形成し、摩擦係数を低下させます。
主な材料:
脂肪酸アミドやシリコーンオイルなどの有機材料が一般的に使用されます。
特徴:
フィルムの加工性や取り扱い性を向上させます。
金型からの離型性を改善します。
主な違い
目的の違い:
アンチブロッキング剤はフィルム同士の密着防止、スリップ剤は摩擦低減が主目的です。
材料の違い:
アンチブロッキング剤は主に無機材料、スリップ剤は主に有機材料を使用します。
作用メカニズムの違い:
アンチブロッキング剤は物理的に表面凹凸を形成、スリップ剤は化学的に表面を改質します。
効果の発現時期:
アンチブロッキング剤は即時効果、スリップ剤は時間経過とともに効果が発現する場合があります。
