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2024.10.22

様々なフィルム特性

目次

様々なフィルム特性

樹脂フィルムの種類は、その種類によって特徴や用途が大きく異なります。ここでは、代表的な7種類の樹脂フィルムについて解説します。

ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム

PETフィルムの特徴、メリット・デメリット
PETフィルムは、ポリエチレンテレフタレートという樹脂を薄く伸ばして作られたフィルムです。透明性が高く、強度も優れていることから、幅広い分野で利用されています。

PETフィルムの特徴

  • 透明性: 高い透明度を持ち、中身を見やすくします。
  • 強度: 引張強度、耐摩耗性、耐衝撃性に優れています。
  • 耐薬品性: 酸やアルカリなど、多くの薬品に強い耐性を示します。
  • 耐熱性: ある程度の耐熱性を持ち、高温下でも変形しにくいものがあります。
  • 電気絶縁性: 電気を通しにくく、電子部品の絶縁材としても利用されます。
  • バリア性: 水蒸気やガスに対してある程度のバリア性を持ちます。
  • リサイクル性: リサイクルが可能で、環境負荷を低減できます。
  • 融点:約260℃

PETフィルムのメリット

  • 多様な用途: 食品包装、電子部品、印刷、建築など、幅広い分野で利用できます。
  • コストパフォーマンス: 比較的安価で入手できます。
  • 加工性: 熱成形、印刷、ラミネートなど、様々な加工が可能です。

PETフィルムのデメリット

  • 耐候性: 紫外線に弱く、長期間屋外に放置すると劣化する場合があります。
  • 耐溶剤性: 一部の有機溶剤には溶ける可能性があります。
  • 引っかき傷: 表面が傷つきやすく、透明度が低下する場合があります。

PETフィルムの用途例

  • 食品包装: ペットボトル、トレー、フィルム包装など
  • 電子部品: 基板、絶縁材、保護フィルムなど
  • 印刷: ラベル、フィルムシートなど
  • 建築: 窓フィルム、インテリアフィルムなど
  • その他: 磁気テープ、光ディスクなど

ケンエー取り扱い品でPETフィルムを使用した製品

ポリプロピレン(PP)フィルム

PPフィルムの特徴、メリット・デメリット
PPフィルムとは、ポリプロピレンという樹脂を薄く伸ばして作られたフィルムです。PETフィルムと同様に、様々な分野で広く利用されています。

PPフィルムの特徴

  • 軽量性: PETフィルムと比較して軽量です。
  • 耐熱性: 熱に強く、高温でも変形しにくい特性を持ちます。
  • 耐薬品性: 酸やアルカリなど、多くの薬品に強い耐性を示します。
  • 耐衝撃性: 衝撃に強く、破れにくい性質を持ちます。
  • 電気絶縁性: 電気を通しにくく、電子部品の絶縁材としても利用されます。
  • 融点:約165℃

PPフィルムのメリット

  • 軽量化: 製品を軽量化したい場合に適しています。
  • 耐熱性: 高温での使用が可能です。
  • 耐薬品性: 化学薬品に触れる製品に適しています。
  • コストパフォーマンス: 大量生産に適し、コストを抑えられます。
  • リサイクル性: リサイクルが可能で、環境負荷を低減します。

PPフィルムのデメリット

  • 印刷適性: 表面の印刷が難しい場合があります。
  • 耐候性: 紫外線に弱く、屋外での長期使用は劣化する可能性があります。
  • 接着性: 一般的な接着剤では接着が困難な場合があります。

PPフィルムの用途例

  • 食品包装: ラップ、トレー、袋など
  • 工業製品: 自動車部品、電子部品、建材など
  • 農業: 農業用フィルム
  • 日用品: ファイル、クリアファイルなど

PPフィルムの種類

  • 一般PPフィルム: 透明度が低く、汎用性が高いフィルム。
  • 耐熱PPフィルム: 高温環境下でも性能を発揮します。
  • 耐薬品性PPフィルム: 化学薬品に対する耐性を高めたフィルム。
  • 無延伸PPフィルム: 引張強度が高く、耐熱性に優れます。

PPフィルムは、その軽量性、強度、耐熱性などの特長を活かし、包装材料、食品容器、医療用品、自動車部品などで使用されています。ただし、屋外での長期使用には耐候性の向上が必要です。

ケンエー取り扱い品でPPフィルムを使用した製品

ポリエチレン(PE)フィルム

PEフィルムとは?
PEフィルムとは、ポリエチレンという樹脂を薄く伸ばして作られたフィルムです。柔軟性が高く、耐水性、耐薬品性に優れていることから、幅広い分野で利用されています。

PEフィルムの特徴

  • 柔軟性: 非常に柔軟性が高く、様々な形状に成形できます。
  • 耐水性: 水を通しにくく、防水性が高いです。
  • 耐薬品性: 酸やアルカリなど、多くの薬品に強い耐性を示します。
  • 電気絶縁性: 電気を通しにくく、電子部品の絶縁材としても利用されます。
  • 軽量性: 軽量で取り扱いが容易です。
  • 低コスト: 製造コストが低く、安価に入手できます。
  • 融点: 約105~115℃(低密度ポリエチレン)

PEフィルムのメリット

  • 汎用性: 食品包装、工業製品、農業用など、幅広い分野で利用できます。
  • 軽量: 軽量で比重が水よりも小さい(0.91-0.92)。
  • 柔軟な加工性: ヒートシール、印刷、ラミネートなど、様々な加工が可能です。
  • コストパフォーマンス: 安価でありながら高い性能を発揮します。
  • 絶縁性: 電気絶縁性が高い。

PEフィルムのデメリット

  • 耐熱性: 熱に弱く、高温になると変形したり溶けたりします。
  • 耐候性: 紫外線に弱く、屋外で長期間使用すると劣化します。
  • 耐摩耗性: 表面が傷つきやすく、摩耗しやすいです。
  • 透明度: 高密度ポリエチレンは透明度が低く、中身が見えにくいことがあります。

PEフィルムの用途例

  • 食品包装: ラップ、袋、トレーなど
  • 農業: 農業用フィルム、マルチシートなど
  • 工業製品: 自動車部品、電子部品、建材など
  • 日用品: ゴミ袋、ビニール袋など

PEフィルムの種類

  • 高密度ポリエチレン(HDPE): 硬く、強度が高いためボトルや容器に使用されます。
  • 低密度ポリエチレン(LDPE): 柔らかく、柔軟性が高いためラップや袋に使用されます。

PEフィルムは、その柔軟性、耐水性、耐薬品性などの優れた特性から、幅広い分野で使用されています。ただし、耐熱性や耐候性が低いというデメリットもあります。

ケンエー取り扱い品でPEフィルムを使用した製品

PVCフィルム

PVCフィルムとは
PVCフィルムは、ポリ塩化ビニルという樹脂を薄く伸ばして作られたフィルムです。その高い耐久性と加工性の良さから、幅広い分野で利用されています。

PVCフィルムの特徴

  • 耐久性: 耐水性、耐薬品性、耐候性に優れ、長寿命です。
  • 柔軟性: 軟質PVCは柔軟性が高く、様々な形状に成形可能です。硬質PVCは硬度が高く、耐衝撃性に優れます。
  • 耐候性: 紫外線や雨風に強く、屋外での使用に適しています。
  • 電気絶縁性: 電気を通しにくく、電子部品の絶縁材としても使用されます。
  • 融点: 約93℃

PVCフィルムのメリット

  • 汎用性: 食品包装、建材、工業製品など、幅広い分野で利用されています。
  • 加工性: 熱成形、印刷、ラミネートなど、様々な加工が可能です。
  • 機能性: 抗菌、UV遮断、静電気抑制など、多様な機能を付加できます。
  • コストパフォーマンス: 安価でありながら高い性能を発揮します。
  • 耐候性: 屋外使用にも適しています。

PVCフィルムのデメリット

  • 環境への負荷: 燃焼時にダイオキシンが発生する可能性があり、環境への負荷が懸念されています。
  • 可塑剤の移行: 軟質PVCは可塑剤を含み、食品に移行するリスクがあります。
  • 耐熱性: 高温になると変形や軟化が発生する可能性があります。
  • 燃焼性: 燃えやすく、火災の原因となることがあります。

PVCフィルムの用途例

  • 食品包装: 食品トレー、ラップ、ボトルなど(食品の種類により可塑剤の移行に注意)
  • 建材: 床材、壁紙、窓材など
  • 工業製品: 自動車部品、電線被覆、ホースなど
  • 日用品: レインコート、ビニール袋など

PVCフィルムの種類

  • 軟質PVC: 柔軟性が高く、シートやフィルムに加工されます。
  • 硬質PVC: 高い硬度を持ち、板状に加工されます。

PVCフィルムは、耐久性、柔軟性、コストパフォーマンスに優れ、様々な分野で利用されていますが、環境負荷や可塑剤移行に関する課題もあります。

ケンエー取り扱い品でPVCフィルムを使用した製品

ナイロンフィルム

ナイロンフィルムとは
ナイロンフィルムは、その高い強度と耐熱性、バリア性から、様々な分野で活用されている汎用性の高いフィルムです。

ナイロンフィルムの特長

  • 高い強度: 引張強度、引裂強度ともに非常に高く、破れにくく耐久性に優れています。
  • 耐熱性: 熱に強く、高温下でも形状を維持できます(融点:約230℃)。
  • 耐薬品性: 酸やアルカリなど、多くの薬品に対して安定しています。
  • バリア性: ガスバリア性が高く、内容物の酸化や水分蒸散を防ぎます。
  • 透明性: 透明なフィルムもあり、内容物を視覚的に確認できます。

ナイロンフィルムのメリット

  • 耐久性が高い: 繰り返し使用できるため、コスト削減につながります。
  • ガスバリア性が高い: 酸素透過度が低く、食品や電子部品の保護に役立ちます。
  • 耐熱性が高い: 高温環境でも使用可能です。
  • 印刷適性: 様々な印刷方法に対応し、デザイン性の高い製品を製造できます。
  • 耐油性: 油脂に対して強いため、食品包装に適しています。

ナイロンフィルムのデメリット

  • 吸湿性: 湿気を吸収しやすく、それによる寸法変化や強度低下が発生する可能性があります。
  • 湿熱による強度低下: 高温多湿環境下で衝撃強度が低下しやすくなります。
  • ヒートシール性の欠如: ナイロン単体ではヒートシールできず、他素材とのラミネートが必要です。
  • 高いコスト: 一般的なプラスチックフィルムに比べて高価です。

ナイロンフィルムの用途

  • 食品包装: レトルトパウチ、真空パックなど高いバリア性と耐熱性を要する包装に使用されます。
  • 医薬品包装: 薬品の品質保持のため、バリア性の高いナイロンフィルムが使用されます。
  • 工業用: 電子部品の保護や化学薬品容器に利用されます。
  • 印刷: ラベルやカードなど耐久性と印刷適性が求められる製品に使用されます。

ケンエー取り扱い品でナイロンフィルムを使用した製品

PSフィルム

PSフィルムとは?
PSフィルムは、ポリスチレンというプラスチックを薄く伸ばして作られたフィルムです。透明度が高く、安価であることから、様々な分野で広く利用されています。

PSフィルムの特徴

  • 剛性: 硬く、変形しにくい性質を持っています。
  • 成形性: 熱成形が容易で、様々な形状に成形可能です。
  • 安価: 製造コストが低く、安価に入手できます。

PSフィルムのメリット

  • 透明度: 高い透明度を持ち、中身を見やすくします。
  • コストパフォーマンス: 安価でありながら、高い透明度や剛性を兼ね備えています。
  • 汎用性: 食品包装、文具、玩具など、幅広い分野で利用可能です。
  • 成形性: 熱成形が容易で、複雑な形状の製品にも対応できます。
  • 電気絶縁性: 電気を通しにくく、電子部品の絶縁材として利用されます。
  • 印刷適性: インクの乗りが良く、印刷がしやすいです。

PSフィルムのデメリット

  • 耐熱性: 熱に弱く、高温になると変形したり溶けることがあります。
  • 耐衝撃性: 衝撃に弱く、割れやすいです。
  • 耐薬品性: 有機溶剤に弱く、変形や溶解の可能性があります。
  • 環境問題: 燃焼時に有害物質が発生し、分解されにくいため環境中に残留する可能性があります。

PSフィルムの用途例

  • 食品包装: トレイ、カップ、フィルムラップなど
  • 文具: クリアファイル、ケースなど
  • 玩具: プラモデル、おもちゃのパーツなど
  • 電子部品: 基板、絶縁材など

番外編:エンジニアリングプラスチックを使用したフィルム

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、通常のプラスチックよりも高い耐熱性や強度を持つ特殊なプラスチック材料です。100°C以上の耐熱性と40MPa以上の引張強度を持つため、工業製品や機械部品に広く使用されています。

ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム

PBTフィルムとは?
PBTフィルムは、ポリブチレンテレフタレートというエンジニアリングプラスチックの一種を薄く伸ばして作られたフィルムです。耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れ、電子部品や自動車部品など過酷な環境下で使用されます。

PBTフィルムの特長

  • 高い機械的強度
  • 優れた耐熱性(融点:約220℃)
  • 良好な電気的特性
  • 低吸水性
  • 高い寸法安定性
  • 優れた成形性と二次加工適性

PBTフィルムのメリット

  • 強度と耐久性: 衝撃強度や突き刺し強度に優れ、他の樹脂フィルムより高い強度を実現します。
  • 加工性: 高温下(約200℃)で伸びる特性があり、加工が容易です。
  • 寸法安定性: 低吸水性により、高い寸法精度が保たれます。
  • 電気的特性: 温度による体積抵抗率の変化が少なく、電子部品に適しています。
  • 耐薬品性: 有機溶剤、潤滑油、ガソリンに対する耐性を持ちます。

PBTフィルムのデメリット

  • コスト: 一般的な樹脂フィルムと比較して高価です。
  • 耐アルカリ性: 強アルカリ性の溶液に対する耐性が低く、使用環境に注意が必要です。
  • 加水分解: 分子構造にエステル基を含むため、加水分解が発生しやすい傾向があります。

PBTフィルムの用途

  • 電気・電子部品(コネクタ、スイッチなど)
  • 自動車部品
  • 産業機器部品
  • フィルム・シート(離型フィルム、カバーテープなど)
  • 3D加飾転写材料
  • リチウム電池外装材

PBTフィルムは、ポリエチレンとナイロンの特性を一部兼ね備えた独自の性質を持ち、耐久性や寸法安定性が求められる用途において重要な役割を果たします。

PA(ポリアミド)フィルム

PAフィルムとは?
PAフィルムとは、ポリアミド樹脂(ナイロン)を薄く伸ばして作られたフィルムです。高い強度、耐熱性、耐薬品性などを持ち、様々な分野で利用されています。

PAフィルムの特徴

  • 強度: 引張強度、耐摩耗性に優れ、丈夫です。
  • 耐熱性: 高温下でも変形しにくい特性を持ちます。
  • 耐薬品性: 酸、アルカリなど、多くの薬品に強い耐性を示します。
  • 柔軟性: ある程度の柔軟性があり、曲げ加工が可能です。
  • ガスバリア性: ガス透過性が低く、内容物を保護します。
  • 融点: 長鎖ポリアミド(LCPA):180~200℃、高耐熱ポリアミド(HTPA):約300℃以上

PAフィルムのメリット

  • 高強度: 丈夫で破れにくいため、耐久性が必要な用途に適しています。
  • 耐熱性: 高温環境での使用が可能です。
  • 耐薬品性: 化学薬品に触れる製品に適しています。
  • ガスバリア性: 食品の鮮度保持や電子部品の保護に役立ちます。
  • 多様な用途: 食品包装、電子部品、工業製品などで利用可能です。

PAフィルムのデメリット

  • コスト: 一般的なプラスチックフィルムより高価な場合があります。
  • 吸湿性: 湿度の高い環境では、吸湿して寸法が変化する可能性があります。
  • 耐候性: 紫外線に弱く、屋外での長期間使用は避けるべきです。

PAフィルムの用途例

  • 電子部品: 基板、絶縁材
  • 工業製品: 自動車部品、機械部品
  • 医療品: 滅菌包装材

選定のポイント

  • 用途に応じた特性: 内容物の重さや形状に適した強度、破れ防止の耐性を持つフィルムを選ぶ。
  • バリア性: 酸素や水蒸気、光から内容物を保護する能力を考慮する。
  • シール性: 熱シールが可能で、確実に密閉できるフィルムを選ぶ。
  • 加工適性: 印刷性が良く、ブランドロゴや商品情報の印刷ができること。
  • 機械適性: 製袋機や充填機との相性が良く、静電気の発生が少ないものを選ぶと作業効率が向上。
  • 環境配慮: リサイクル可能な素材や生分解性フィルムの使用を検討し、材料削減も考慮する。
  • コスト: 必要な性能を満たしつつ、コスト効率の良いフィルムを選ぶ。
  • 法規制への適合: フランス鉱物油規制やREACH関連法規などに適合したフィルムであること。

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