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2024.05.10 静電気

静電気トラブルの対策

目次

静電気トラブルの対策

静電気のトラブル、どうすれば防げるの?

静電気のショックを受けた経験、誰しもあるのではないでしょうか?あのパチッとした不快な感覚、そして場合によっては電子機器を壊してしまう可能性もあります。

そんな静電気のトラブル、どうすれば防げるのでしょうか?

 

静電気をなくすのは難しい!

多くの人は「静電気をなくしたいなら、発生させなければいいんだ!」と思うかもしれません。しかし、静電気は私たちの生活の中で、様々な場面で自然に発生する現象です。完全に静電気をなくすことは、残念ながら難しいのです。

 

静電気対策のポイント

では、どうすれば静電気のトラブルを防げるのでしょうか?

静電気対策のポイントは大きく分けて2つあります。

1.電荷の発生を抑える

静電気が発生する原因となる、接触、剥離、摩擦をできるだけ少なくしたり、ゆっくり行うことで、電荷の発生を抑えることができます。

 

2.電荷を速やかに逃がす

一度発生した電荷を、導体を通して大地に逃がすことで、静電気による影響を少なくすることができます。

 

 

 

日常的な静電気対策

対象物別対策

静電気対策は、対象物によって適切な方法が異なります。

人体編

導電性の高い素材の衣服を着用する: コットン素材など、静電気が起きにくい素材を選ぶと良いでしょう。

 

  • 保湿クリームを塗る

肌の乾燥は静電気を起こしやすいため、保湿クリームを塗って肌を潤わせましょう。

 

  • 導電性のリストバンドを着用する

電子機器を扱う作業をする際は、導電性のリストバンドを着用し、体に溜まった静電気を大地に逃がしましょう。

 

衣類編

  • 柔軟剤を使用する

柔軟剤には、静電気を抑制する効果があるものがあります。

 

  • 乾燥機の使用を控える

乾燥機を使うと、衣類に静電気が発生しやすくなります。

 

室内編

  • 加湿器を使用する

空気が乾燥すると静電気が発生しやすいため、加湿器を使って湿度を上げましょう。

 

  • 導電性の床材を使用する

床材を導電性の素材に変えることで、静電気を大地に逃がす(アース)ことができます。

 

 

 

工業現場での静電気対策

導体への対策

静電気対策の基本!アース(接地)について

静電気のトラブル対策として、よく耳にするのが「アースを取る」という言葉ですよね。一体、アースとは何なのでしょうか?簡単に説明すると、帯電した物体に導線を繋ぎ、大地に電気を逃がすことを指します。

なぜアースを取ると静電気がなくなるの?

地球は大きな導体であり、常に一定の電位(電気的な高さ)を持っています。この大地の電位を基準に、他の物体の電位の高さを測ることができます。

そして、大地の電位はほぼゼロとみなせるため、帯電した物体を大地に繋ぐことで、その物体にある余分な電気が大地へと流れ、電位がゼロに近づこうとするのです。

アースを取るメリット

  • 効果が高い

アースは、静電気対策として非常に効果的な方法です。導体であれば、簡単に静電気を除去することができます。

 

  • 安全

帯電した物体に触れても、アースがしっかり取られていれば、感電の危険性が大幅に減少します。

 

  • シンプル

導線を大地に繋ぐだけなので、特別な装置や技術は必要ありません。

 

アースを取る方法

アースを取る方法は、非常にシンプルです。

1.導体と大地を繋ぐ: 帯電している金属製の物体と、大地を導線で繋ぎます。

2.導線の材質: 銅線などの導電性の高い金属製の導線を使用します。

3.接地点: 大地にしっかりと接地できる場所を選びます。

 

アースの注意点

  • 導線の太さ: 電流が流れやすいように、ある程度の太さの導線を使用する必要があります。
  • 接地点: 錆びていたり、絶縁体で覆われていたりする場所は避ける必要があります。
  • 定期的な点検: 導線や接地点が損傷していないか、定期的に点検する必要があります。

以上のように、アースは静電気対策の基本であり、非常に効果的な方法です。導体であれば、簡単にアースを取ることができ、静電気によるトラブルを防止することができます。ただし、適切な方法で行うことが大切です。

②静電気対策床材を使用する

静電気対策に役立つ!静電気防止床材

なぜ床の静電気を対策する必要があるの?

床に電気が溜まると、私たちが歩くたびに、靴を通して体へ静電気が移ってしまいます。これが原因で、電子機器の誤動作や、ちょっとした火花が引火して危険な状況を招く可能性があるんです。

 

静電気防止床材の役割

静電気防止床材は、そんな静電気のトラブルを防ぐために作られた特別な床材です。

 

主な役割は2

1.私たちと床との間の静電気を減らす

床材の素材や構造によって、私たちが床に触れたときの静電気の発生を抑えます。

 

2.発生した静電気を逃がす

万が一、静電気が発生しても、床材を通して素早く大地に逃がすことで、静電気による影響を最小限に抑えます。

静電気防止床材の種類と特徴

静電気防止床材には、様々な種類がありますが、代表的かつ施工が簡単な「フロアマット」について詳しく説明します。

 

フロアマット

特徴

  • 比較的薄いシート状の床材で、既存の床の上に敷くことができます。
  • 局所的な静電気対策に適しており、作業台周りや、精密機器を取り扱う場所などに使用されます。

 

メリット

  • 施工が簡単で、場所を選ばずに使えるため、手軽に静電気対策を始められます。
  • 汚れたり、傷ついたりした部分だけを交換できるため、経済的です。

 

デメリット

  • マットの端がめくれ上がったり、滑る可能性があります。
  • 重いものを置いたり、頻繁に移動する場所には不向きな場合があります。

 

フロアマットの選び方

フロアマットを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

  • 導電性: 静電気を逃がす能力を表す指標です。接地抵抗値と書かれている場合もあります。
  • 耐久性: 頻繁に歩く場所や、薬品を使用する場所では、耐久性の高いものを選びましょう。
  • 厚み: 薄すぎると耐久性が低く、厚すぎると段差ができやすくなります。
  • サイズ: 使用場所に合わせて適切なサイズを選びましょう。

静電気対策床材はについては、下記のページで解説しておりますので、

ご参照下さい。

静電気対策マットについて

静電気防止床材、特にフロアマットは、オフィスや工場など、静電気対策が必要な場所で広く利用されています。静電気によるトラブルを防ぎ、安全で快適な環境作りに役立ちます。

静電気対策、靴も忘れずに!

静電気対策として、床材だけでなく、私たちが履いている靴も重要な役割を果たします。

 

なぜ靴の静電気対策が必要なの?

床が静電気防止対策が施されていても、私たちが履いている靴が絶縁体になっていると、歩くたびに体内に静電気が溜まってしまいます。これが原因で、電子機器の誤動作や、静電気によって発生したほんの少しの火花が引火して、危険な状況を招く可能性があるんです。

 

靴の静電気対策方法

靴の静電気対策には、主に以下の2つの方法があります。

1.ストラップによるアース:

靴のかかと部分や足首部分に、導電性のストラップを取り付け、床に接触させる方法です。

溜まった静電気を、ストラップを通して大地に逃がすことができます。

 

2.静電気防止靴の着用

靴底に導電性の素材を使用し、人体に帯電した静電気を大地に逃がすことができる靴です。

作業環境に合わせて、様々な種類があります。

 

静電気防止靴を選ぶ際のポイント

静電気防止靴を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

  • 導電性: 静電気を逃がす能力を表す指標です。作業環境に合わせて適切な導電性を備えた靴を選びましょう。
  • 耐久性: 頻繁に歩く場所や、薬品を使用する場所では、耐久性の高いものを選びましょう。
  • 快適性: 長時間履いても疲れにくい、快適な履き心地のものを選びましょう。

 

静電気対策は、床材だけでなく、靴の対策も重要です。静電気防止靴を着用することで、より効果的に静電気を防止することができます。

④他にも色々!導体への静電気対策

 

シールド

  • 目的: 導体を金属などの導電体で覆い、外部からの電場を遮断します。
  • 方法: 電子部品や回路基板を金属ケースなどで覆います。
  • 種類: 電磁シールド、静電シールドなどがあります。

 

静電気対策製品の使用

  • 導電性リストバンド: 人体を大地に接続し、静電気を逃がします。
  • 静電気シールドバッグ: 電子部品などを静電シールドバッグに入れて保管・運搬します。

 

導体に対する静電気対策のポイント

  • 複合的な対策

単一の対策ではなく、複数の対策を組み合わせることで効果が期待できます。

 

  • 定期的な点検

接地線の接続状態や導電性素材の劣化などを定期的に点検します。

 

  • 環境の湿度

湿度が低いと静電気が発生しやすいため、加湿器などを使用して湿度を調整します。

 

  • 導電性の確保

導体間の電気抵抗を低く保つことで、静電気を抑制します。

 

 

具体的な対策例

  • 電子部品の取り扱い

静電気シールドバッグの使用、導電性リストバンドの着用、イオンブロワーによる除電

 

  • プリント基板の製造

接地、静電気シールドバッグの使用、イオンブロワーによる除電

 

  • 金属製筐体の組み立て

接地、導電性塗料の使用、シールド

導体に対しては、電気を流しやすいから電気を流す場所を作ってあげることが大事です。
それでは電気を流さないといわれてる絶縁体にはどのような対策があるのでしょうか?

絶縁体への対策

①導電化をする

なぜ絶縁体の静電気対策が必要なの?

静電気って、金属などの導体だけでなく、プラスチックやゴムなどの絶縁体にも発生するんです。特に、工場や研究室などでは、これらの絶縁体が原因で製品が傷ついたり、誤動作を起こしたりすることがあります。

 

絶縁体を導電化する方法

絶縁体は電気を流せないから、アースを取っても静電気が消えないんです。そこで、絶縁体に特別な処理をして、電気を通しやすい状態にする「導電化」という方法があります。

 

1.表面の導電化

  • 方法

絶縁体の表面に、電気を通しやすい物質を塗ったり混ぜたりして、表面だけを導電体にする方法です。

 

  • メリット

絶縁体の内部構造を変える必要がないので、比較的簡単に行えます。

表面だけを処理すれば良いので、コストを抑えることができます。

 

  • デメリット

表面の処理が剥がれてしまうと、効果がなくなってしまうことがあります。

強い摩擦や熱によって、導電性が失われる可能性があります。

 

表面導電化の例:静電気防止剤

ポリエチレンなどのプラスチック製品に、静電気防止剤を混ぜ込むことで、表面を導電性にすることができます。静電気防止剤は、水分を吸着しやすく、その水分が電気を流すことで、静電気を逃がします。

2.体積的な導電化

  • 方法

絶縁体の中に、導電性の高い物質(カーボン繊維など)を混ぜ込むことで、材料全体を導電体にする方法です。

 

  • メリット

表面の処理が剥がれる心配がなく、耐久性が高いです。

導電性の高い物質を使用することから、電気が素早く流れ、静電気防止効果が高いです。

 

  • デメリット

製造コストが高くなることがあります。

物質を混ぜ込むことから、材料の特性が変化する場合があります。

 

体積的な導電化の例:導電性プラスチック

プラスチックの中に、導電性の高いカーボン粒子を混ぜ込むことで、導電性プラスチックを作ることができます。このプラスチックは、電子部品の包装材などに使われています。

②除電する

除電とは、帯電した物体に帯電の逆の電荷を与え、電気的に中性にすることです。静電気によるトラブルを防ぐために非常に重要な技術です。

除電の原理

静電気が発生すると、物体はプラスまたはマイナスの電気を帯びます。この帯電した物体に、帯電の逆の電荷を与えることで、電気的に中性になり、静電気による影響がなくなります。

除電の方法

除電方法は、大きく分けて以下の3つがあります。

1.接触除電

    • 帯電した物体に導体を接触させることで、電荷が導体を介して大地に流れていきます。
    • 例:
      • 接地:導体を大地に接続する
      • 導電性ローラー:紙やフィルムなどの連続体を導電性ローラーに通す
      • 導電性ブラシ:帯電した粉体などに導電性ブラシを接触させる。

 

2.非接触除電

    • コロナ放電により、少しの隙間であれば接触せず除電することが可能です。
    • 例:
      • 除電紐の活用

 

3.除電装置等による中和する除電

    • 帯電した物体に、帯電の逆の電荷を持ったイオンを衝突させることで、中和させる方法です。
    • 例:
      • イオンブロワー:高電圧を発生させ、空気中の分子をイオン化し、帯電物体に吹き付ける

 

除電装置

除電装置には、以下の種類があります。

  • イオンブロワー: 空気中にイオンを発生させ、帯電物体に吹き付ける装置
  • 静電気除去バー: 高電圧を発生させ、空気中の分子をイオン化して中和させる装置
  • 除電ブラシ: 導電性の毛で構成されており、帯電した物体に接触させて除電する装置
  • 除電ノズル: 空気を吹き出しながらイオンを発生させ、帯電物を中和する装置

 

除電の注意点

  • 環境条件: 湿度、温度、空気中の塵埃などが除電効果に影響します。
  • 材料の種類: 材料の種類によって、最適な除電方法が異なります。
  • 帯電量: 帯電量が多い場合は、複数の除電方法を組み合わせる必要があります。
  • 定期的なメンテナンス: 除電装置は定期的な清掃や点検が必要です。

 

除電が重要な理由

  • 製品の品質向上: 静電気による製品の不良を防ぐことができます。
  • 作業環境の改善: 静電気によるショックを防ぎ、作業者の安全性を高めます。
  • 火災防止: 静電気による火災を防ぎます。

 

静電気トラブル対策の落とし穴!見かけ除電について

見かけの除電とは、一見すると静電気が除去されたように見える状態ですが、実際には静電気が完全に中和されていない状態を指します。

見かけ除電の例

プラスチックやフィルム、シートなどの絶縁体に直接アースを繋げても静電気は逃げません。

ただ、アースされた金属にフィルムやシートを接触させると、静電気が無くなった様に見えることがあります。

例えば一般的な絶縁体であるポリエチレンフィルムを擦って静電気を発生させます。

そのポリエチレンフィルムを、アースされた金属板の上に乗せます。

すると、表面が導体化し、電荷が中和されることで、一見静電気が発生していないように見えます。

ですが、再びポリエチレンフィルムを持ち上げると・・・静電気が発生してしまいます。

これは、帯電したポリエチレンフィルムが導体である金属板と接触した際に、

ポリエチレンフィルムと反対の極性の電荷がアースから、引き寄せられたためです。

一見、除電された状態になっています。

ですが、金属板から持ち上げた際に剥離帯電してしまい、それぞれの物質に帯電していた電荷が分離され、静電気として現れてしまうのです。

なぜ見かけ除電が起こるのか?

  • 不完全な接地

導体を大地に接続する際、接地抵抗が大きい場合や、接触不良がある場合に、電荷が十分に大地に流れないことがあります。

 

  • 不十分なイオン化

イオン化による除電では、イオンの発生量や、帯電物への到達率が不十分な場合、完全な中和ができないことがあります。

 

  • 帯電防止剤の量や種類

帯電防止剤の種類や塗布量によっては、一時的に静電気を抑えることはできても、永続的な効果が得られない場合があります。

 

  • 環境条件

湿度、温度、空気中の塵埃など、環境条件によって除電効果が変化します。

 

 

見かけ除電が問題となる理由

  • 再帯電

一時的に静電気が除去されたように見えても、時間が経つにつれて再び帯電することがあります。

それにより下記のようなトラブルのリスクとなります。

 

①製品不良

電子子部品の破損、塗装ムラ、異物付着など、製品の品質低下につながります。

 

②火災の危険性

静電気火花による火災の危険性があります。

 

 

見かけ除電を防ぐためには?

  • 確実な接地

接地抵抗を低く保ち、接触不良がないことを確認します。

 

  • 帯電防止剤の選定

材料や環境に適した帯電防止剤を選び、適切な量を塗布します。

 

  • 環境管理

湿度や温度を適切に管理します。

 

  • 定期的な点検

除電装置の性能を定期的に確認し、必要に応じてメンテナンスを行います。

 

  • 静電気測定

静電気の発生量を測定し、対策の効果を確認します。

 

 

静電気トラブルは、私たちの生活や産業活動に様々な悪影響を及ぼします。しかし、適切な対策を行うことで、これらのトラブルを未然に防ぐことができます。

 

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