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2024.05.10 静電気

静電気発生の仕組み・帯電の種類

静電気の正体、それは

静電気が起こる理由は、物質を構成する小さな粒子の動きにあります。

すべての物質は、原子という小さな粒が集まってできています。 原子の中には、さらに小さな「電子」という粒があり、この電子が静電気の鍵を握っていると言えるでしょう。

電子は、マイナスの電気を持っています。そして、原子の中には、プラスの電気を持つ「陽子」も存在します。通常は、電子と陽子の数が同じでバランスが取れているため、静電気は発生しません。

しかし、2つの物質がこすり合わされたり、離れたりすると、このバランスが崩れてしまうことがあります。 このとき、一方の物質からもう一方の物質へ、電子が移動します。

  • 電子をたくさんもらった物質は、マイナスに帯電
  • 電子をたくさん失った物質は、プラスに帯電

 

この状態を「帯電」といい、この帯電した状態が静電気なのです。

なぜ「バチッ」と感じるの?

帯電した物体が他の物体に触れると、その間の電位差が一気に解消され、放電が起こります。この放電が、私たちが感じる「バチッ」という小さな電気ショックなのです。

 

例えば、金属のドアノブを触ったとき

金属のドアノブを触って「バチッ」とくるのは、私たちの体が帯電していて、ドアノブに触れたときに放電が起こるためです。

日常で発生しやすい静電気

静電気は、物質間の電子の移動によって起こる現象です。私たちの身の回りには、静電気が発生しやすい状況がたくさんあります。

  • 冬にセーターを脱ぐとき
  • ビニール袋を触ったとき
  • 髪の毛がまとわりつくとき

これらはすべて、静電気が原因です。


まず、物質は原子と原子の組み合わせで出来ています。
その原子には「マイナスの電子」と「プラスの陽子」で構成された原子核が含まれています。

通常は、図1のようにマイナスの電子とプラスの陽子の数が同じ状態を中和状態といい、静電気が発生していない状態を表しています。

一方、図2のように電子の数が陽子よりも多い場合を『+に帯電』、電子の数が陽子よりも少ない場合はを『-に帯電』しているといい、
この帯電した状態を『静電気』と呼ばれているのです。

図1
図2

導体と絶縁体

電気を通すものと通さないもの、知ってる?

皆さんの身の回りには、電気を通しやすいものと、通しにくいものがたくさんあります。

例えば、電線をイメージすると、電気は金属製の電線をスーッと通って、電球などを光らせることができます。

一方、ゴムのコードで電球をつなごうとしても、電球は光りません。これは、物質によって電気を通しやすさが違うからです。

 

物質を電気を通しやすさで分類すると

大きく分けて、以下の3つの種類に分類することができます。

  • 導体: 電気を通しやすい物質です。金属(銅、金、アルミニウムなど)が代表的です。

導体の中では、電子と呼ばれる小さな粒子が自由に動き回ることができ、それが電流の流れをスムーズにするのです。

 

  • 絶縁体: 電気を通しにくい物質です。ゴム、プラスチック、ガラスなどが代表的です。

絶縁体の中では、電子がほとんど自由に動き回ることができないため、電流が流れにくくなっています。

 

  • 半導体: 導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質です。シリコンやゲルマニウムなどが代表的です。

半導体は、特別な処理をすることで、電気を流しやすくしたり、流しにくくしたりすることができるため、トランジスタやICなどの電子部品に使われています。

 

なぜ、ゴムは電気を通さないの?

ゴムが電気を通さないのは、絶縁体であるゴムの中は電子がほとんど自由に動き回ることができないからです。電子が自由に動けないということは、電流が流れにくいということになります。

日常生活での例

  • 電線: 銅などの導体を使って作られています。
  • コンセントのプラグ: プラスチックなどの絶縁体で覆われています。
  • スマートフォン: 半導体を使った電子回路で動いています。

このように、電気を通しやすいものと通しにくいものを上手に使い分けることで、私たちの生活はより便利になっています。

 

少し難しい話ですが

半導体は、現代の電子機器に欠かせない存在です。コンピューター、スマートフォン、テレビなど、私たちの身の回りにある多くの電子機器の中に、半導体が組み込まれています。

半導体の性質を巧みに利用することで、非常に小さな回路の中に複雑な機能を実現することが可能になっています。

このように物質によって電気を通しやすさが違うのは、その物質の中に含まれる電子がどのくらい自由に動き回れるかによって決まります。私たちの身の回りにある様々な物質は、この3つのグループのどれかに属しているのです。

帯電とは?

帯電ってどんな風に起こるの?

「帯電」という言葉、少し難しく聞こえますよね。でも、実は私たちの身の回りで、いつも起こっている現象なんです。

 

帯電の仕組み

帯電は、物体が触れ合うことで、電気が片方に集まる現象のことです。

すべての物質は、とても小さな粒(原子)が集まってできています。

この原子の周りには、さらに小さな「電子」という粒がグルグル回っています。電子は、マイナスの電気を持っています。

 

2つの物体が触れ合うと、この電子が一方の物体からもう一方の物体へ移動することがあります。

  • 電子をたくさんもらった物体は、マイナスに帯電
  • 電子をたくさん失った物体は、プラスに帯電

 

①接触帯電

例えば、下記の図のように2つの物体が接触すると

片側の物体に電子が移動し、マイナスに帯電します。電子を失ったもう片方の物体はプラスに帯電します。

接触時

分離後

接触帯電が他の帯電に繋がる

この接触帯電は、静電気が発生する最初のステップです。

この後、紹介する他の種類の帯電も、この接触帯電がもとになっていることが多いんです。

 

帯電は、物体が触れ合うことで、電子が移動し、一方の物体がプラス、もう一方の物体がマイナスに帯電する現象です。この現象は、私たちの身の回りで、いつも起こっているごく自然な現象なのです。

 

②剥離帯電

帯電の2つ目のパターン:剥離帯電

先ほどは、物体が触れ合うことで起こる「接触帯電」についてお話しました。

今回は、物体を剥がすときに起こる帯電について説明します。これを「剥離帯電」といいます。

 

剥離帯電ってどんなもの?

剥離帯電は、くっついていた2つの物体を剥がすときに、一方の物体からもう一方の物体へ電子が移動し、両方が帯電する現象です。

例えば、セロハンテープを紙から剥がすときや、ガムテープを壁から剥がすときなどに、静電気を感じることがありますよね。

この静電気は、剥離帯電によって発生しているんです。

 

剥離帯電の仕組み

接触した状態でいる限り、これらの電荷はバランスが取れている状態ですが、

一旦離れる(剥離する)と、それぞれの物質に帯電していた電荷が分離され、静電気として現れます。

2つの物体を剥がす際に、電子が一方の物体に残ってしまい、結果として一方の物体がプラスに、もう一方の物体がマイナスに帯電するのです。

剥離帯電に影響を与えるもの

剥離帯電の量は、以下の要因によって変わってきます。

  • 密着度

物体がどれだけ密着しているかによって、電子が移動しやすさが変わります。密着度が高いほど、多くの電子が移動し、帯電量も大きくなります。

 

  • 剥離速度

剥がす速度が速いほど、電子が移動する時間が短くなり、多くの電子が一方の物体に残りやすくなります。そのため、帯電量も大きくなります。

剥離帯電は、物体を剥がすときに起こる静電気の現象です。密着度や剥離速度によって、帯電の量が変化します。

私たちの身の回りでは、セロハンテープを剥がすときや、ガムテープを剥がすときなど、様々な場面で剥離帯電が起こっています。

③摩擦帯電

帯電の3つ目のパターン:摩擦帯電

先ほどまで、物体が触れ合うことで起こる「接触帯電」と、物体を剥がすときに起こる「剥離帯電」について説明しました。

今回は、物体をこすり合わせることで起こる帯電について説明します。これを「摩擦帯電」といいます。

摩擦帯電ってどんなもの?

摩擦帯電とは、異なる2つの物質を擦り合わせることで、一方の物質から他方の物質へ電子が移動し、

それぞれがプラスまたはマイナスの電気を帯びる現象のことです。

例えば、風船を髪の毛でこすりつけると、風船が髪の毛に貼り付くことがありますよね。

これは、風船と髪の毛をこすり合わせたことで、摩擦帯電が起こり、風船と髪の毛がそれぞれプラスとマイナスに帯電したためです。

摩擦帯電の仕組み

接触帯電と同様に、摩擦帯電も電子が移動することで起こります。

しかし、摩擦帯電では、こすり合わせることで接触面が大きく広がり、より多くの電子が移動するため、接触帯電よりも多くの電気が帯電します。

摩擦帯電が大きい理由

摩擦帯電が接触帯電よりも大きい理由は、接触面積が大きくなるからです。

  • 接触帯電

物体が接している部分でのみ電子が移動します。

 

  • 摩擦帯電

こすり合わせることで、接触面が大きく広がり、より多くの場所で電子が移動します。

摩擦帯電が発生しやすい状況

  • 乾燥した環境

湿度が低いと、空気中の水分が電荷を中和しにくいため、静電気が発生しやすくなります。

 

  • 異なる種類の素材

異なる種類の素材を擦り合わせると、より多くの電子が移動し、強い静電気が発生します。

 

摩擦帯電は、物体をこすり合わせることで起こる静電気の現象です。接触面積が大きくなるため、接触帯電よりも多くの電気が帯電します。私たちの身の回りでは、服を脱ぐとき、髪の毛を梳かすときなど、様々な場面で摩擦帯電が起こっています。

④誘導帯電

帯電の4つ目のパターン:誘導帯電

これまで、接触、剥離、摩擦によって起こる帯電について見てきました。

今回は、導体と呼ばれる電気を通しやすい物質で起こる特別な帯電について説明します。これを「誘導帯電」といいます。

 

誘導帯電ってどんなもの?

誘導帯電は、帯電した物体を導体(例えば金属)に近づけると、導体の中に電気が流れ、その表面に逆の電気が現れる(分極する)現象です。

まるで、磁石が鉄を引きつけるように、帯電した物体と導体が互いに影響し合うイメージです。

 

誘導帯電の仕組み

例えば、プラスに帯電した棒を金属に近づけると、金属の中の電子(マイナス)は、プラスの棒に引き寄せられます。

そのため、金属の棒に近い側はマイナスに帯電し、反対側はプラスに帯電します。

誘導帯電が起きる理由

導体の中には、自由に動き回ることができる電子がたくさん存在しています。

この電子が、帯電した物体に引き寄せられたり、反発したりすることで、導体の表面に電気が現れるのです。

 

もう少し詳しく説明すると・・・

1.帯電体の影響

帯電体にはプラスまたはマイナスの電荷が偏っています。

この帯電体を導体に近づけると、導体内の自由電子が帯電体から見て反対の極性に引き寄せられます。

 

2.電荷の偏り

結果として、導体の帯電体に近い側には帯電体と逆の極性の電荷が、遠い側には帯電体と同じ極性の電荷が誘導されて集まります。

 

3.導体内部の電荷

導体内部では、電荷は常にプラスとマイナスの数が等しく、全体として電気的に中性です。

しかし、表面に電荷が分極することで、導体全体として電気的な偏りが生じます。

 

誘導帯電の特徴

  • 導体でしか起こらない

金属のように電気を通しやすい物質に対して発生します。

 

  • 接触しなくても起こる

帯電した物体に直接触れなくても、近づけるだけで起こります。

 

  • 一時的な現象

帯電した物体を遠ざけると、導体の表面の電荷は元に戻ります。

 

誘導帯電の特徴

  • 一時的な現象

帯電体を導体から遠ざけると、導体内の自由電子は元の位置に戻り、電荷の偏りはなくなります。

 

  • 導体でのみ起こる

誘導帯電は、導体でしか起こりません。絶縁体(電気が流れにくい物質)では、電子が自由に移動できないため、誘導帯電は起こりません。

 

誘導帯電は、導体で起こる特別な帯電現象です。帯電した物体を近づけることで、導体の中に電気が流れ、その表面に逆の電気が現れます。

 

帯電列

帯電列ってなに?

皆さんは、ある物質と別の物質をこすり合わせると、片方がプラスに、もう片方がマイナスに帯電することを知っていますよね。

このとき、どの物質がプラスに帯電しやすく、どの物質がマイナスに帯電しやすいのか、あらかじめわかっているものがあるんです。

この、物質が帯電しやすい順番を並べたリストのことを「帯電列」といいます。

 

帯電列を使うと何がわかるの?

帯電列を使うと、2つの物質をこすり合わせたときに、どちらがプラスに、どちらがマイナスに帯電するかを予測することができます。

例えば、帯電列で上のほうにある物質(プラスになりやすい物質)と、下のほうにある物質(マイナスになりやすい物質)をこすり合わせると、

上のほうの物質はプラスに、下のほうの物質はマイナスに帯電しやすい、ということです。

 

帯電列の例

帯電列の一例を挙げると、下記のように表すことができます。

帯電列の使い道

帯電列は、静電気に関する様々な現象を理解する上でとても役立ちます。

  • 静電気対策

帯電列を参考に、静電気を起こしにくい素材を選ぶことができます。

 

  • 実験

帯電の実験をする際に、どの物質を組み合わせると大きな静電気が発生するかを予測することができます。

 

覚えておくと便利なこと

  • 帯電列はあくまで目安

必ずしも厳密なものではなく、環境や条件によって変化する場合もあります。

 

  • 距離が離れているほど帯電しやすい

帯電列で離れている物質同士をこすり合わせると、より大きな静電気が発生しやすい傾向があります。

 

帯電列は、物質が帯電しやすい順番を並べたリストです。このリストを使うことで、2つの物質をこすり合わせたときに、どちらがプラスに、どちらがマイナスに帯電するかを予測することができます。

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